MODEモデルとは?考える動機と機会が態度と行動のつながりに与える影響

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

いつも買う飲み物が目に入った瞬間、あまり考えずに手が伸びることがあります。ところが、値段や成分を確かめる時間がある日は、別の商品を選ぶかもしれません。同じ好みを持っていても、行動はいつも同じになるとは限りません。

MODEモデルは、あるものへの好き嫌いなどの評価が行動にどう関わるかを、じっくり考えようとする気持ちと、考えるための時間や余裕から説明する心理学のモデルです。考える条件が整っていないときには、以前からの評価が自然に浮かび、判断を左右することがあります。

MODEモデルとは?態度が行動につながる二つの道筋

この理論でいう「態度」とは、人への接し方や礼儀ではなく、「その商品が好き」「その意見には反対だ」といった、ある対象を良い・悪いと評価する気持ちや考え方のことです。

心理学者のファジオは1990年、そうした態度が判断や行動に関わる過程を、大きく二つに分けて説明しました(Fazio, 1990)。

  • 自然に反応する道筋:好きな商品を見た瞬間に「いいな」と感じるように、以前からの評価が意識して考えなくても浮かびます。その評価が商品の見え方や判断に影響し、次の行動につながることがあります。
  • 考えて決める道筋:「好きだけれど高い」「今日は別の商品が必要だ」など、好みだけでなく、選んだ場合の利点や負担、ほかの情報を比べて行動を決めます。

十分に考える場合でも、以前からの好みが消えるわけではありません。好みを判断材料の一つとして扱うこともあれば、最初に浮かんだ印象を踏まえて考え直すこともあります。二つの道筋が混ざる場合もあると、ファジオとオルソンは説明しています(Fazio・Olson, 2014)。

判断を左右する「動機」と「機会」

MODEという名前には、考える動機と機会が、どちらの道筋で判断しやすいかを左右するという意味が込められています(Fazio・Olson, 2014)。

  • 動機:その選択について、手間をかけて考えようとする気持ちです。たとえば「間違えずに選びたい」「後で選んだ理由を説明する必要がある」と思うことが当てはまります。
  • 機会:実際に考えられる条件です。時間が十分にあることや、ほかの作業に気を取られずに情報を比べられる余裕があることを指します。

動機と機会が両方そろうと、最初に思い浮かんだ評価だけに頼らず、関連する情報を比べて選びやすくなります。一方、考えたいと思っていても返事を急がされれば、詳しく調べる機会が足りません。時間に余裕があっても、考える必要を感じていなければ、いつもの印象で決めることがあります。

自然に反応する道筋では、もう一つ重要な条件があります。それは、対象を見たときに以前からの評価がすぐ思い浮かぶかどうかです。強く好きなものだけでなく、強く嫌いなものについても、評価がすぐ浮かぶことがあります。反対に評価が思い浮かびにくい対象では、置かれた場所など、その場の別の特徴が選択に関わる場合があります(Fazio・Olson, 2014)。

研究で分かっていること

1989年:好みが思い浮かびやすい商品ほど、評価と選択が一致した

ファジオら(1989)は、参加者に複数の商品への評価を尋ね、答えるまでにかかった時間から、それぞれの評価がどれほど思い浮かびやすいかを調べました。その後、前列と後列に並べた10点の商品から、謝礼として持ち帰る5点を選んでもらいました。

結果は、ある商品への評価をすばやく答えられる場合ほど、その評価と、商品を選んだかどうかや選んだ順番との対応が強いというものでした。また、評価がすぐには思い浮かばない場合ほど、前列に並んだ商品の方が後列の商品より選ばれやすいという差が大きくなっていました。ただし、商品の前後の配置は参加者ごとに入れ替えていないため、この差を商品の位置だけによるものとは断定できません(Fazioほか, 1989)。

この研究は、以前からの好き嫌いがいつも同じ強さで行動につながるのではなく、その評価が自然に浮かびやすいかどうかで違いがあることを示しています。

1990年:考える動機と時間の両方が、店の選び方に関係した

サンボンマツとファジオ(1990)は、二つの百貨店について、売り場ごとの特徴を参加者に読んでもらいました。一方の店は全体的に評価が高いものの、カメラ売り場の評価は低く、もう一方の店は全体的な評価が低いものの、カメラ売り場は高く評価できる内容でした。

参加者は、各店の全体的な印象を考えた後、カメラを買うならどちらの店に行くかという仮の選択をしました。実験では、選んだ理由を人前で説明すると伝えるかどうかによって考える動機を変え、回答を急がせるかどうかによって考える時間も変えました。

その結果、よく考える動機があり、時間にも余裕がある場合には、全体の印象では劣っていてもカメラ売り場の評価が高い店を選びやすくなりました。動機か時間のどちらかが足りない場合には、カメラ売り場の評価が低くても、全体の印象が良い店を選ぶ傾向が比較的強くなりました(Sanbonmatsu・Fazio, 1990)。

この実験で選んだのは、実際に買い物をする店ではなく、説明を読んだ後に想定した買い物先です。結果は、考える条件によって、先に形成した店全体の印象に沿う選択と、カメラ売り場について読んだ情報に沿う選択のどちらが多いかが変わったことを示しています。

身近な場面で考える:同じ好みでも返事が変わるとき

たとえば、料理教室が好きな人が、友人から「今度の日曜日の教室に一緒に行かない?」と誘われたとします。突然その場で返事を求められると、「料理教室は楽しい」という気持ちが先に浮かび、参加すると答えるかもしれません。

同じ人でも、一晩考える時間があり、「日曜日の予定と費用を確かめてから決めたい」と思えば、ほかの予定や参加費を調べたうえで見送ることもあります。この二つは、好き嫌いそのものが変わらなくても、判断に使える時間や考えようとする気持ちによって答えが変わることを表した仮の例です。

MODEモデルは、行動が以前からの好みと一致したかどうかだけで、その人の考え方を判断するものではありません。評価がすぐ浮かぶか、考え直す動機と機会があるかを合わせて見ることで、同じ人でも行動が変わる理由を考えられます。

参考文献・出典