オペラント条件づけとは?行動の結果が次の行動に与える影響
食事のあとに食器を片づけたら、家族から「助かったよ」と言われ、それから自分から片づける回数が増えたとします。何かをした後の出来事が、次に同じ行動をするかどうかに関わることがあります。
オペラント条件づけとは、自分がとった行動の結果を経験することで、その後、同じような場面でその行動が起こりやすくなったり、起こりにくくなったりする学習です。大切なのは、行動の後に何が起きたかと、その後の行動が実際にどう変わったかです。
オペラント条件づけとは?行動と結果を結び付けて学ぶ仕組み
たとえば、箱の中にいる動物がレバーを押すと餌が出る仕組みを考えてみましょう。初めは偶然押しただけでも、レバーを押すたびに餌が出て、押す回数が増えていけば、行動と結果の関係を学んだと考えられます。
同じ「条件づけ」という名前でも、古典的条件づけとは注目する関係が違います。古典的条件づけでは、食べ物を知らせる音だけで唾液が出るようになるなど、出来事の合図と、それによって引き起こされる反応を扱います。オペラント条件づけが主に扱うのは、自分が行ったことと、その後に生じた結果の関係です(Spielmanほか, 2020)。
そのため、行動のすぐ後にうれしい出来事が起きたというだけで、必ずその行動が増えるとは限りません。本人が行動したときにその結果が生じることや、実際に行動の回数が変わることが、考える手がかりになります。
行動が増える「強化」と、減る「罰」
行動の後に起こったことによって、同じ行動が以前より増えることを、心理学では「強化」と呼びます。反対に、その結果によって行動が減ることを「罰」と呼びます。ここでいう罰は、誰かを責めるべきだという意味ではなく、行動の変化を説明する言葉です。
行動が増える結果には、欲しいものが手に入る場合だけでなく、嫌なことがなくなる場合もあります。たとえば、車の警告音がシートベルトを締めると止まり、その経験によって次から早めに締めるようになったとすれば、音が止まることが行動を増やす方向に働いた例です。
反対に、ある操作をするたびにゲームの得点が減り、その操作をしなくなったとすれば、行動が減る方向に働いた例です。何が加わったか、何がなくなったかだけでなく、その後に行動が増えたのか減ったのかを分けて考えます(Spielmanほか, 2020)。
研究で分かっていること
心理学者エドワード・ソーンダイクは、猫を箱に入れ、決まった動作をすると扉が開き、外に出て餌を食べられる状況で、脱出までにかかる時間を調べました。猫は初め、箱のあちこちをひっかくなどさまざまな動きをしましたが、試行を重ねると扉を開ける動作が早く現れるようになりました。
たとえば、箱の前に下がった輪を動かすと扉が開く仕組みで調べた一匹の猫では、最初の脱出までに160秒かかったのに対し、24回目は7秒でした。途中の試行では時間が長くなることもあり、毎回少しずつ短縮したわけではありません。箱から出られるという結果と、そのための動作を結び付けて学んでいく経過が記録されています(Thorndike, 1911)。
その後、心理学者バラス・スキナーは、ラットがレバーを押した回数を装置で記録する実験を行いました。まず装置が音を立てて餌を出す経験を重ねさせ、ラットがその音を聞くと餌の受け皿へ近づくようにしました。次に、レバーを押すと装置が作動し、音が鳴って餌が出るようにしました。すると、多くのラットでレバーを押す回数が増えました。
スキナーの報告では、この方法で調べた78匹のうち75匹でレバー押しが増えました。一方、残る3匹は、もともとほとんどレバーを押さず、3時間の観察中に学習による増加は見られませんでした(Skinner, 1938)。この研究は、行動の後に餌が得られる条件で、行動の回数が変わることを示しています。
同じ結果が続かなくなると、行動はどうなるのか
これまでレバーを押すと餌が出ていたのに、押しても餌が出なくなると、押す回数はしだいに減ることがあります。結果が得られなくなる経験も、次の行動に関わるのです。スキナーは、こうした反応の変化も実験で調べています(Skinner, 1938)。
ただし、どの行動も同じ速さで減るわけではありません。以前にどれくらい繰り返してきたかや、どのような頻度で結果が得られていたかによって、行動の続き方は変わります(Spielmanほか, 2020)。
身近な場面で考える
最初に挙げた食器の片づけも、日常で考えるための仮の例です。食器を片づけるたびに家族から感謝され、その後も片づける回数が増えたなら、感謝された経験が行動を後押しした可能性があります。一方、声をかけられても行動が変わらない人もいるでしょう。「ほめたから強化された」と、声をかけた側の意図だけで決めることはできません。
また、人が同じ行動を繰り返す理由には、以前の経験に加え、そのときの目的や周囲の状況も関わります。結果を経験して行動が変わるという見方は、身近な習慣を理解する一つの手がかりになりますが、個々の行動の理由を一つだけに決めるものではありません。
参考文献・出典
- Thorndike, E. L. (1911). Animal Intelligence: Experimental Studies, Chapter II: Animal Intelligence; An Experimental Study of Associative Processes in Animals. 猫が箱から脱出する動作を学ぶ経過と脱出時間の記録の根拠。
- Skinner, B. F. (1938). The Behavior of Organisms: An Experimental Analysis. ラットのレバー押しを餌によって増やす実験と、結果を得られなくなったときの反応の変化の根拠。
- Spielman, R. M., Jenkins, W. J., & Lovett, M. D. (2020). Psychology 2e, 6.3 Operant Conditioning. OpenStax. 古典的条件づけとの違い、行動が増減する結果の分類、結果の与え方による行動の違いについての解説。