ソースモニタリング理論とは?情報をどこで知ったのかを判断する仕組み

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

友人から聞いた話を、後になって「自分がニュースで見た話だった」と思い出すことはあるのでしょうか。また、何かを実際に口に出したのか、それとも頭の中で考えただけなのか、分からなくなることもあります。

ソースモニタリング理論とは、覚えている情報が、誰から聞いたものか、何で見たものか、自分で考えたり想像したりしたものかを、人がどのように判断するかを説明する心理学の考え方です。情報の内容を覚えていても、その出どころの判断を間違う場合があります。

ソースモニタリング理論とは?記憶の出どころを判断する働き

「ソース」は情報の出どころ、「モニタリング」は、その情報について確かめたり判断したりすることを指します。たとえば「来週の集まりは土曜日」という内容を知っていても、それを友人から聞いたのか、連絡用の画面で読んだのかまでは、すぐに思い出せない場合があります。

ジョンソンらは1993年、それまでの研究を整理し、人が記憶の出どころを判断する仕組みを説明する枠組みを提示しました(Johnsonら、1993)。記憶の中に「この情報は友人から」「これは自分の想像」と書かれた確実な印が入っているとは考えません。思い出せた内容と、それに伴うさまざまな特徴を手がかりに、出どころを判断すると考えます。

出どころには、次のような違いがあります。

  • 外から得た情報の区別:家族が言ったのか、友人が言ったのか。画面で読んだのか、音声で聞いたのか。
  • 見聞きしたことと想像したことの区別:実際に見た場面なのか、自分で頭の中に思い浮かべた場面なのか。
  • 自分の考えと行動の区別:言葉を実際に口に出したのか、言おうと考えただけなのか。

このうち、外から見聞きしたことと、自分の想像や思考とを区別する働きについて、ジョンソンとレイは1981年に詳しく論じました(Johnson・Raye、1981)。1993年の枠組みは、そうした区別も含めて、より幅広く情報の出どころを扱っています。

なぜ「どこで知ったか」を取り違えるのか

ある出来事を実際に見た記憶には、光景の色や形、見た場所や時間、その前後に起きたことなどが残っているかもしれません。逆に、想像した場面の記憶では、どうやってその場面を考えたか、どの知識から思いついたかといった情報が手がかりになる場合があります(Johnson・Raye、1981)。

ただし、実際に見たものの細部を忘れることもあれば、想像した光景が鮮明に残ることもあります。記憶がはっきりしているかどうかだけで、実際に経験したものかを決めることはできません。

また、出どころの判断には、どのくらい慎重に確かめるかも関わります。「以前に見聞きした」という親しみの感覚だけで判断する場合と、誰が、いつ、どんな形で伝えたのかまで考える場合とでは、答えが変わり得ます。ジョンソンらの1993年の理論では、記憶を自動的に判断する場合も、意識的に詳しく判断する場合もあると考えています(Johnsonら、1993)。

つまり、内容を知っているという感覚と、その内容をどこで得たかについての記憶は、同じではないということです。

研究で分かっていること

1983年:子どもが区別しやすい出どころは、組み合わせによって違った

フォーリーら(1983)は二つの実験で、以前に自分が口に出した言葉、ほかの人が言った言葉、自分が頭の中で考えただけの言葉を、人がどれほど区別できるか調べました。

最初の実験では、6歳の子どもは、自分が言った言葉とほかの人が言った言葉を区別する点で、17歳の参加者と同程度でした。しかし、自分で口に出した言葉と、考えただけの言葉を区別することは、6歳の子どもの方が難しくなりました。二つ目の実験でも、6歳の子どもは自分で言ったことと考えたことの区別が難しい一方、二人の別々の人が言った言葉の区別では9歳の子どもと同程度でした(Foleyら、1983)。

この研究は、子どもがすべての出どころを区別できないという結果ではありません。何と何を区別するのかによって、難しさが異なることを示しています。

1988年:想像するときの「声」が、聞いたかどうかの判断を変えた

ジョンソンら(1988)は二つの実験で、実際に聞いた言葉と、頭の中で想像した言葉を区別してもらいました。想像するときは、自分の声で言う場面を思い浮かべたり、実際に言葉を読み上げた人の声を思い浮かべたりする条件がありました。

その結果、相手の声で言葉を想像した場合は、自分の声で想像した場合より、実際に聞いた言葉との区別が難しくなりました(Johnsonら、1988)。

想像した声が実際に聞いた声に似ているほど、記憶を思い出したときの手がかりも似てしまうと考えられます。ただし、この実験は言葉を聞く・想像するという決められた条件での結果であり、日常の会話をすべて説明するものではありません。

1988年:実際の経験と想像した出来事では、思い出す特徴が違った

別の研究でジョンソンら(1988)は、過去の実際の経験と、想像した出来事について、どのような特徴が記憶に残っているかを二つの調査で検討しました。

最初の調査では、最近や子どもの頃の出来事について回答してもらい、実際に経験したとされる出来事の方が、想像した出来事より、見聞きした情報や場所・状況の詳しさなどについて高く評価される傾向が見られました。特に最近の出来事で、その違いが目立ちました。次の調査では、出来事が起きたと判断する理由として、実際の経験では感覚的な細部やほかの記憶を挙げやすく、想像した出来事では以前から知っていることを使って考える傾向が見られました(Johnsonら、1988)。

これは集団で見られた傾向であり、細部が豊富な記憶なら必ず事実であると確かめた研究ではありません。

1994年:覚えているかの判断と、出どころの判断は同時にはできなかった

ジョンソンら(1994)は二つの実験で、以前に実際に見た絵や、頭の中で想像した絵に対応する言葉と、学習していない新しい言葉を使って、記憶を判断してもらいました。答えるまでに使える時間を変え、何を先に判断できるようになるかを調べました。

その結果、その言葉に対応する絵を、以前に見たり想像したりしたことがあるかを判断する正確さは、「実際に見たのか、想像したのか」という出どころを区別する正確さより、早い段階で高まりました(Johnsonら、1994)。

つまり、以前に触れた内容だと分かることと、その情報がどこから来たか分かることは、異なる判断だと考えられます。これは短い時間で回答を求める実験での結果です。

1994年:あとから聞いた情報を、実際に見たものと取り違える場合もあった

サラゴサとレーン(1994)は、出来事を見た参加者にあとから誤った内容を示す研究を、五つの実験で行いました。後のテストでは、誤って伝えられた内容を、実際に目撃したものだと思い出しているかを調べました。

その結果、一部の参加者は、あとから示唆されただけの内容を、実際に見たものとして思い出したと回答しました。ただし、そのような取り違えが起きる程度は条件によって異なり、誤った情報を見聞きした人全員に起きたわけではありません(Zaragoza・Lane、1994)。

後からの誤情報で回答が変わることを調べる研究とも関係しますが、ここでの焦点は、回答した内容を、いつどこで見聞きしたものとして覚えているかです。

2000年:聞いた情報と想像した光景が重なると、見たという誤りが増えた

ヘンケルら(2000)は二つの実験で、実際に耳で聞いた内容と、目で見たと想像した内容などを組み合わせ、後から出どころを判断してもらいました。

その結果、ある内容を耳で聞き、さらにその内容を目で見たかのように想像した場合は、実際には見ていないのに「見た」と答えることが、聞いただけの場合や想像しただけの場合より増えました。一方、思い出した内容の特徴や、考えられる出どころを詳しく確かめるようにした条件では、出どころの誤りが減りました(Henkelら、2000)。

複数の情報を結び付けることは、内容を豊かに思い浮かべる助けになる一方、その情報を本当に見たかどうかの判断を難しくする場合があります。ただし、詳しく確かめれば誤りを完全になくせると示したものではありません。

身近な場面で考える

たとえば、週末の集まりの開始時刻を「10時」と覚えている人がいるとします。しかし、その時刻は友人の話で聞いたのか、自分が予定を想像していたときに思いついたのか、はっきりしません。

このとき、「10時だった」という内容への自信と、「その情報を誰から、どんな場面で知ったか」という自信を分けて考えられます。連絡の履歴や予定表が残っていれば、それを見て確かめる方法もあります。これは研究で観察された実話ではなく、ソースモニタリング理論を理解するための仮の例です。

記憶の出どころを振り返ることは、一つの手がかりになります。ただし、考えているうちに自分の想像をより鮮明にしてしまう場合もあるため、振り返りだけで事実が保証されるわけではありません。重要な情報は、可能なら実際の連絡や記録にも当たる方が確かです。

ソースモニタリング理論が伝えているのは、「何を知っているか」と「どこで知ったか」は別々に判断され、その判断には誤りも生じるということです。出どころの手がかりを考えると、記憶の正確さについて、もう一段丁寧に判断するきっかけになります。

参考文献・出典

  • Johnson, M. K., & Raye, C. L. (1981). Reality monitoring. Psychological Review, 88(1), 67–85. 見聞きした経験と、自分で考えたり想像したりした経験の出どころを判断する仕組みを提案した論文。
  • Foley, M. A., Johnson, M. K., & Raye, C. L. (1983). Age-related changes in confusion between memories for thoughts and memories for speech. Child Development, 54(1), 51–60. 子どもと年長の参加者について、誰が話したかと、自分が話したか考えただけかを区別する二つの実験。
  • Johnson, M. K., Foley, M. A., & Leach, K. (1988). The consequences for memory of imagining in another person’s voice. Memory & Cognition, 16(4), 337–342. 言葉を聞く場合と、自分や相手の声で想像する場合の記憶を比べた二つの実験。
  • Johnson, M. K., Foley, M. A., Suengas, A. G., & Raye, C. L. (1988). Phenomenal characteristics of memories for perceived and imagined autobiographical events. Journal of Experimental Psychology: General, 117(4), 371–376. 実際の経験と想像した出来事について、思い出すときの細部や判断理由を比較した二つの研究。
  • Johnson, M. K., Hashtroudi, S., & Lindsay, D. S. (1993). Source monitoring. Psychological Bulletin, 114(1), 3–28. 情報の出どころを判断する仕組みと、判断の誤りに関する研究を整理した理論的な論文。
  • Johnson, M. K., Kounios, J., & Reeder, J. A. (1994). Time-course studies of reality monitoring and recognition. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 20(6), 1409–1419. 以前見た内容を知っているかと、その出どころを判断するまでの時間を比べた二つの実験。
  • Zaragoza, M. S., & Lane, S. M. (1994). Source misattributions and the suggestibility of eyewitness memory. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 20(4), 934–945. あとから伝えられた内容を実際に目撃したものと取り違える場合を調べた五つの実験。
  • Henkel, L. A., Franklin, N., & Johnson, M. K. (2000). Cross-modal source monitoring confusions between perceived and imagined events. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 26(2), 321–335. 聞いた内容と想像した光景を組み合わせた場合の出どころの誤りと、確かめ方による違いを調べた二つの実験。