フランカー効果とは?周囲の情報が目標への反応に与える影響

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

中央の矢印だけを見て答えるように言われても、両脇の矢印が反対方向を向いていると、答えるまでに時間がかかることがあります。これはフランカー効果と呼ばれる現象の一例です。注目する対象が決まっていても、その近くにある無視すべき情報が、答えを選ぶ速さや正確さに影響します。

フランカー効果とは?

「フランカー」とは、見分けたいもの(目標)の脇に置かれた文字や記号のことです。フランカー効果は、目標とは関係のない周囲の情報によって、目標への反応が変わる現象を指します。特によく調べられているのは、周囲が目標と異なる答えを促すと、同じ答えを促す場合より反応が遅くなったり、間違いが増えたりすることです。

たとえば、画面の中央の矢印だけを見て、右向きなら右のキー、左向きなら左のキーを押す課題を考えてください。

  • 「→ → →」:中央も両脇も右向きで、同じ「右」の答えを促します。
  • 「← → ←」:中央は右向きですが、両脇は反対の「左」の答えを促します。

どちらも正解は右のキーです。それでも二つ目では、周囲の左向き矢印が別の答えを促すため、正しい操作を選ぶまでに時間がかかりやすくなります。ここで重要なのは、目標と周囲の形が同じかどうかだけでなく、同じ操作を促すか、反対の操作を促すかという違いです。矢印を用いた実験でも、この組み合わせを比較しています(Lee & Pitt, 2024)。

なぜ周囲の情報が反応に影響するのか

目標がどこにあるか分かっていても、近くにある文字や記号まで、ある程度読み取ってしまうと考えられています。周囲のものが目標と違うキーを押すよう促すと、二つの操作が競い合い、目標に合う操作を選ぶのに時間がかかります。周囲が誘う反応との競い合いは、フランカー効果を説明する重要な考え方の一つです(Eriksen & Eriksen, 1974)。

ただし、反応を選ぶ段階の競い合いだけでは説明しきれない結果も報告されています(Rouder & King, 2003)。

1974年の実験では何が分かったのか

1974年、Barbara A. EriksenとCharles W. Eriksenは、大学の学生6人に、決められた位置に現れるアルファベットを見分け、レバーを左右どちらかに動かしてもらいました。「H」「K」なら一方、「S」「C」ならもう一方という決まりです。目標の文字は毎回同じ位置に現れました。周囲に文字を置く条件では、目標の左右に3文字ずつ並び、文字の種類や間隔が変えられました。周囲に文字を置かない条件も設けて、反応時間と間違いを調べました。

目標が「H」のとき、周囲が「K」なら文字自体は違っても同じ側のレバーを動かす組み合わせです。一方、周囲が「S」なら反対側のレバーを動かす組み合わせになります。この比較によって、見た目の違いだけでなく、周囲の文字が促す操作の違いを調べることができました。

周囲の文字が反対側への操作を促す場合は、同じ側への操作を促す場合よりも反応が遅くなりました。文字の間隔が狭いときには、反対側への操作を促す条件で間違いも多く見られました。また、文字の間隔を広げると、周囲に文字を置いたどの条件でも反応が速くなりました。目標の位置を最初から知っていても、近くの情報の影響を完全には避けられなかったのです(Eriksen & Eriksen, 1974)。

後の研究ではどう確かめられたのか

文字の代わりに矢印を使った研究でも、周囲の影響が確認されています。LeeとPitt(2024)は、中央の矢印の向きに応じてキーを押す課題をオンラインで行い、左右に置く矢印の向きや距離を変えました。その結果を、以前に別の参加者が実験室で行った同様の課題の結果と比較しました。どちらの実験でも、周囲が中央と反対方向を向く場合に反応が遅くなり、矢印間の距離が広いほどその遅れは小さくなる傾向が見られました(Lee & Pitt, 2024)。

一方、RouderとKing(2003)は、はっきりした「A」「H」と、両者の中間のような文字を目標にして、周囲を「A」または「H」で囲みました。はっきりした文字では通常のフランカー効果が見られましたが、中間の形の一部では、周囲が「A」の場合より「H」の場合のほうが、目標を「A」に近いと答える割合が高くなりました(Rouder & King, 2003)。つまり、はっきりしない目標を、周囲とは異なる文字だと答える傾向です。著者らは、周囲の情報が答える操作だけでなく、文字の見分け方にも影響すると考えています。

身近な場面で考える

たとえば駅で、並んだ案内表示のうち、自分が乗る路線の矢印だけを素早く確認するとします。そのすぐ脇に別方向を示す矢印がいくつも並んでいると、見る場所が分かっていても、どちらへ進むか一瞬迷うかもしれません。これは駅の案内表示で直接確かめられた結果ではなく、周囲の情報も判断に入り込むという仕組みを考えるための例です。

案内表示や操作画面を作るときには、素早く判断してほしい記号の近くに、反対の操作を示す記号を密集させないといった工夫が考えられます。ただし、紹介した研究が直接測ったのは、決められた文字や矢印に対する素早い反応です。どの案内表示でも必ず同じ効果が起きる、あるいは配置を変えれば必ず改善するとまではいえません。

参考文献・出典