プロトタイプ理論とは?「その種類らしさ」を基準にものを分類する考え方

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

「鳥」と聞いてスズメを思い浮かべ、ペンギンには少し違う印象を持つ人もいるでしょう。どちらも鳥ですが、「鳥らしさ」の感じ方は同じとは限りません。プロトタイプ理論は、その種類に共通しやすい特徴をまとめた典型的なイメージを手掛かりに、ものを分類するという考え方です。

プロトタイプ理論とは?「その種類らしさ」で分類する考え方

プロトタイプとは、ある種類のものについて、代表的だと感じる特徴をまとめた頭の中のイメージです。現実にある特定の一つを、そのまま覚えたものとは限りません。たとえば、「鳥」という種類から、羽毛、くちばし、空を飛ぶ姿などを思い浮かべることがあります。

この理論では、目の前のものがそうした特徴のまとまりにどれほど似ているかが、どの種類に分けるかを考える手掛かりになると説明します。また、同じ種類の中でも、典型的に感じられるものと、あまり典型的ではないものがあると考えます(Murphy, 2016)。

たとえば、スズメは羽毛とくちばしを持ち、空を飛びます。一方、ペンギンにも羽毛とくちばしがありますが、空を飛びません。「飛ぶこと」を鳥らしさの大切な特徴として思い浮かべている人には、スズメの方が典型的な鳥に感じられるかもしれません。しかし、ペンギンも鳥の仲間です。その種類らしく見える程度と、実際にその種類に属するかどうかは別のことです。

なぜ共通する特徴から「典型」が生まれるのか

同じ種類に入るものが、すべて同じ特徴を持つとは限りません。たとえば家具には椅子、机、ソファなどがあり、形も使い方も異なります。それでも、座るために使う、部屋に置く、脚があるといった特徴を、いくつかの家具が部分的に共有しています。

プロトタイプ理論では、このように同じ種類のほかのものと共有する特徴が多いほど、その種類の代表として感じられやすいという考え方が重視されます。また、別の種類に属するものとは共有する特徴が少ないことも、ある種類の典型として感じられることに関係します(Rosch & Mervis, 1975)。

研究で分かっていること

ロッシュとマービスは1975年に、「家具」「乗り物」「果物」など六つの種類について研究しました。まず、別の調査でそれぞれの品物がどれほどその種類のよい例に見えるかが評価されていました。その評価を手掛かりに、研究者たちは大学生に品物の特徴を書き出してもらい、挙げられた特徴が同じ種類のほかの品物とどの程度共通しているかを調べました。

その結果、調べた六つの種類すべてで、ほかの品物と共有する特徴が多いものほど、「その種類の代表としてふさわしい」という評価が高い関係が見られました。これは、人が感じる典型らしさと、もの同士が共有する特徴の多さとの結び付きを示す結果です(Rosch & Mervis, 1975)。

さらに研究者たちは、文字や数字を組み合わせた、参加者にとって初めて見る種類を作り、それらを見分ける練習をしてもらいました。同じ種類の中での特徴の重なり方や、別の種類との特徴の重なり方を変えると、覚えやすさ、見分けるまでの時間、どれほど典型的に感じるかにも違いが見られました。実際の品物についての評価だけでなく、新しく種類を学ぶ課題でも、特徴の重なり方が関わっていたのです(Rosch & Mervis, 1975)。

ただし、こうした結果だけで、人がいつも頭の中の典型像と照らし合わせて分類していると証明されたわけではありません。過去に出会った個々のものの記憶も、分類に関わることがあります(Murphy, 2016)。

身近な場面で考える

たとえば、家具店で椅子を探している人が、背もたれと四本の脚がある椅子を思い浮かべているとします。その人が背もたれのない丸いスツールを見ると、座るための家具であっても、最初は「椅子らしくない」と感じるかもしれません。

この場合、頭の中にある典型的な椅子の姿と、目の前のスツールとの違いが印象に関係している、とプロトタイプ理論から考えられます。慣れた形に似ているかだけでなく、実際に何に使うものかを確かめれば、見た目の印象とは分けて判断できます。

何がその種類の典型と感じられるかは、文化によって違う可能性もあります。2024年の論文では、ある言葉から思い浮かべる代表的な特徴が文化によって異なることがあるため、実際にどの特徴が重視されているかを文化ごとに調べる方法と、その注意点が説明されています(Sun et al., 2024)。

参考文献・出典