ガルシア効果とは?食べ物と体調不良が結び付く味覚嫌悪学習の特徴

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

初めて食べた料理のあと、数時間して気分が悪くなったとします。体調を崩した原因がその料理だったとは限らなくても、後から同じ味を口にするのが嫌になることはあるのでしょうか。

ガルシア効果とは、食べ物や飲み物の味と、その後の体調不良が結び付くことで、同じ味を避けるようになる学習を指す呼び名です。心理学の研究では「味覚嫌悪学習」と呼ばれます。この学習は、一度の経験でも起こることがあり、食べた直後ではなく時間がたってから体調が悪くなった場合にも生じ得ます。

ガルシア効果とは?味と体調不良を結び付ける学習

人や動物は、何かを食べた後に吐き気などの不快な体の変化を経験すると、それ以前に口にした食べ物の味を、避けた方がよい手がかりとして学ぶことがあります。後日、その味を再び経験する機会があっても、食べる量が減ったり、別のものを選んだりする場合があります。この現象は、心理学者ジョン・ガルシアらが行った研究によって広く知られるようになりました(Garciaら、1955;Linら、2017)。

大切なのは、味と体調不良を結び付けて学習したことと、食べ物が本当に体調不良の原因だったことは別だという点です。体調が悪くなった理由を本人が知っていても、直前に食べたものへの嫌悪が生じる場合があります。

また、初めて見る食べ物を、食べる前から警戒することとも区別できます。初めての味を警戒する反応は、食後の体調不良を経験していなくても起こります。ガルシア効果の中心にあるのは、味を経験した後の体の不快な変化が、その味への反応を変えることです(Linら、2017)。

味覚嫌悪学習には、どのような特徴があるのか

研究で確かめられてきた特徴は、主に次の三つです。

  • 少ない経験でも学ぶ場合がある:味を経験した後に体調が悪くなる組み合わせが一度だけでも、その味を避けるようになることがあります。
  • 味と体調不良の間に時間が空いてもよい:動物の実験では、味を経験してから1〜6時間たって体調不良を引き起こす条件でも、嫌悪が学ばれた例があります。
  • 何と何が続いたかによって学びやすさが違う:体の内側の不調は味と、体の外側から受ける電気刺激は音や光と、比較的結び付きやすいという結果が得られています。

これらは、研究で見られた条件付きの特徴です。すべての食べ物や人で一度の経験が必ず強い嫌悪を生むわけではありません。味の新しさ、体調不良の強さ、その間に別の食べ物を経験したかどうかなども、結果に関係すると考えられています(Linら、2017)。

研究で分かっていること

1955年:甘い味の水を避けるようになったラットの研究

ガルシア、キメルドルフ、ケーリングは1955年、ラットがサッカリンで甘みを付けた水を飲み、放射線を浴びた後、その水を避けるようになる現象を報告しました。サッカリンは甘みを付ける物質です。この研究は、味と後の体への影響が結び付く学習を調べる初期の代表例となりました(Garciaら、1955)。

1966年:味・音・光は、同じ結果と結び付くとは限らなかった

ガルシアとケーリング(1966)は、ラットが水の飲み口をなめると光と音が出るようにし、水の味と光・音を一緒に経験させました。その後に起こす出来事として、体に不調を引き起こす物質や放射線を使う場合と、足への電気刺激を使う場合を比べました。

すると、体の内側に不調を起こす条件では、水の味を手がかりとする回避反応が現れやすく、足への電気刺激を使った条件では、音や光を手がかりとする回避反応が現れやすいという違いが見られました(Garcia・Koelling、1966)。

ラットは味・音・光を経験していましたが、結果の種類によって、後でどの手がかりに反応するかが異なりました。つまり、同時に経験した情報がすべて同じ強さで学ばれるわけではありません。これは、味と体調不良の結び付きが学習されやすいことを理解する手がかりになります。

2015年:時間が空いても学べるが、途中の経験も関わる

クォックとボークス(2015)は、味と体調不良の間に時間を置いたラットの実験をまとめています。扱われた実験では、最初に甘い液体を飲ませ、65分後に体調不良を引き起こす薬剤を投与して、後にその甘い味を避けるようになるかを調べました。

その間に別の酸っぱい味を経験させると、最初の甘い味への嫌悪が弱くなる場合がありました。さらに、その酸っぱい味を示す時刻や場所なども結果に関わりました(Kwok・Boakes、2015)。

この結果は、味と体調不良がすぐ続かなくても学習が生じる一方で、時間が空いても必ず同じ味に嫌悪が生じるわけではないことを示しています。

1978年・1980年:人でも食べ物の選び方が変わった

バーンスタイン(1978)は、がんの薬物治療を受ける子どもたちに、治療前に珍しい味のアイスクリームを食べてもらいました。薬による胃腸の不調を経験した子どもたちは、比較対象の子どもたちより、そのアイスクリームを後で選びにくくなりました(Bernstein、1978)。

さらにバーンスタインとウェブスター(1980)は、薬物治療を受ける成人に、二種類の異なる味のアイスクリームのうち一種類を、治療前に口にしてもらいました。その後、二種類から選んでもらうと、治療前に口にした味は、もう一方の味より好まれにくくなりました(Bernstein・Webster、1980)。

これらの研究では、アイスクリーム自体が薬の副作用を起こしたわけではありません。それでも、治療前に食べた味への反応が変わりました。ただし、実験で確認されたのは主に後からその味を選ぶかどうかであり、すべての参加者が同じ程度の嫌悪感を自覚したと示したものではありません。

身近な場面で考える

たとえば、ある人が初めて飲んだ果物味の飲み物の数時間後に、別の原因で体調を崩したとします。その後、同じ飲み物を見かけたときに、味を思い浮かべるだけで飲む気が起きなくなるかもしれません。

これは研究で報告された実話ではなく、味覚嫌悪学習を理解するための仮の例です。飲み物と体調不良が時間的に続いたことで、飲み物への反応が変わったという見方はできますが、実際に不調を起こした原因が何かは、この現象だけでは判断できません。

また、食べ物を避ける理由は人によって異なります。味そのものが苦手だったり、食べ慣れていなかったり、体調に配慮して意識的に避けていたりする場合もあります。ガルシア効果は、食べ物の味と後から起こった体の不快な変化を結び付けて、次の食べ方が変わることがあるという学習の特徴を示しています。

参考文献・出典