画像優位性効果とは?言葉と画像では覚えやすさがどう違うのか

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

買い物に必要な品物を覚えるとき、「りんご」「時計」と書かれた文字を見た場合と、それぞれの品物の絵を見た場合では、後から思い出しやすさが違うことがあります。記憶を調べた実験では、画像の方が文字より覚えられやすい傾向が繰り返し報告されています。

画像優位性効果とは、物の名前を言葉で見せる場合より、その物を画像で見せる場合の方が、後の記憶テストでよい成績が出やすいという現象です。ただし、何を見せ、どう覚えてもらい、後で何を答えてもらうかによって、この違いは変わります。

画像優位性効果とは?絵と言葉で何が違うのか

研究では、身近な品物などを絵や写真で示す場合と、その名前を文字で示す場合を比較します。たとえば、「傘」「花」「靴」という文字を見せる人と、それぞれの品物の絵を見せる人を考えてみましょう。後で何を見たか答えてもらうと、絵を見た人の方が多く思い出せる場合があります。これは現象を理解するための仮の例です。

記憶を調べる方法にも違いがあります。一つは、何も手がかりを見ずに覚えた品物を挙げる方法です。もう一つは、候補を見せて以前に見たものを選んでもらう方法です。後者では、見覚えがあるものを見分けられるかを調べます。画像優位性効果は両方の方法で研究されています。

大切なのは、画像が特別に目立つ場合だけでなく、複数の品物を絵で見せる場合にも、文字との記憶の違いが研究されていることです。すべての記憶課題で画像が有利になるという意味ではありません。

画像が覚えやすいと考えられている理由

一つの説明は、物の絵を見ると、その見た目と名前の両方が記憶の手がかりになるというものです。りんごの絵を見たとき、人は丸い姿や色を見ながら「りんご」という名前も思い浮かべるかもしれません。後から思い出すときに、姿と言葉の両方を使えるという考え方です。

一方、「りんご」という文字を読んでも、はっきりした姿をいつも思い浮かべるとは限りません。ただし、文字を読みながら自分でその物の姿を想像すれば、記憶の手がかりが増える可能性があります。これは、画像と言葉の覚え方を変えた実験から提案されている説明です(Paivio・Csapo、1973)。

別の説明では、画像の形や色などの見た目が品物ごとに違うことを重視します。すべて同じ書体の黒い文字と比べると、画像は互いを見分ける手がかりを多く持っている場合があります。どちらの説明が画像優位性効果にどれほど関わるかは、現在も議論されています(Higdonら、2025)。

研究で分かっていること

1967年:画像を以前に見たかの判断が正確だった

シェパード(1967)は、参加者に単語、文章、または画像をそれぞれ約600項目見せました。その後、前に見せたものと初めて見るものを二つ並べ、どちらを以前に見たか選んでもらいました。

参加者の正答率の中央値は、単語で90%、画像で98%でした。画像を以前に見たか判断する成績が、単語より高かったのです(Shepard、1967)。

この研究の数字は、二つの候補から以前に見たものを選ぶ実験の成績です。また、単語と画像はそれぞれ別の項目の集まりから選ばれています。同じ内容を画像に変えると、誰でも正答率が8ポイント上がるという意味ではありません。

1968年:画像の優位性は、思い出す回数によって変わった

パイヴィオら(1968)は、物の絵を見せた場合と、その物の名前を文字で見せた場合を比べました。参加者には後から覚えている項目を自由に挙げてもらい、そのような記憶テストを4回行いました。

その結果、最初の2回では絵を見た場合の方が多く思い出されました。しかし、残りの2回については、画像の方が多く思い出されるという明確な差は報告されませんでした(Paivioら、1968)。繰り返すうちに、言葉との違いが小さくなる場合もあるのです。

1973年:言葉から物の姿を思い浮かべると差が見られなかった

パイヴィオとチャポ(1973)は、画像と言葉を見せ、覚えるときに名前を言ったり、物の姿を頭の中で思い浮かべたりする条件を設けました。その後、見た項目を自由に思い出してもらいました。

全体では画像の方がよく思い出される条件が多かったものの、文字から物の姿を思い浮かべながら覚えた条件では、通常の画像の優位性が見られませんでした(Paivio・Csapo、1973)。

この結果は、絵か文字かという違いだけでなく、覚えるときに自分で何を考えたかも記憶に関わる可能性を示しています。

2025年:文字の見た目を変えると、画像との違いがなくなった

ヒグドンら(2025)は、物の画像と名前の文字を使い、覚えるときの見た目の違いを調べました。色付きの画像と白黒の画像、すべて同じ書体の黒い文字と、色・大きさ・書体などを変えた文字を比較しました。

画像や言葉の組み合わせを後から見分ける実験と、覚えた項目を自分で思い出す実験では、色付きの画像は普通の黒い文字よりよく覚えられました。しかし、白黒画像と、色や書体を変えた文字との間には、明確な記憶の差が見られませんでした(Higdonら、2025)。

この結果は、画像にすることだけではなく、項目同士を見分けやすくすることも記憶に関係するという説明を支持しています。ただし、この研究だけで画像優位性効果の原因が一つに決まったわけではありません。

身近な場面で考える

たとえば、買い物に出かける人が、必要な品物を文字だけで並べた一覧と、品物の小さな絵を並べた一覧のどちらかを見てから店に向かうとします。絵の形を手がかりにして、買う物を思い出しやすくなることがあるかもしれません。

ただし、買う物の種類だけでなく「牛乳2本」「無糖」などの細かな条件も覚える必要があれば、文字の情報も大切です。これは効果の仕組みを考えるための仮の場面であり、買い物の記憶について画像が必ず優れていると確かめた研究ではありません。

画像優位性効果は、何を絵で見たか、何を文字で読んだかによって、後からの思い出しやすさが変わりうることを示しています。何を覚えたいのか、どう覚えるのか、後で何を答える必要があるのかを踏まえて、絵と言葉を使い分けて考えることができます。

参考文献・出典

  • Shepard, R. N. (1967). Recognition memory for words, sentences, and pictures. Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior, 6(1), 156–163. 以前に見た項目を選ぶ実験で、単語と画像の正答率を比べた研究。公開要旨で方法・結果を確認。
  • Paivio, A., Rogers, T. B., & Smythe, P. C. (1968). Why are pictures easier to recall than words? Psychonomic Science, 11(4), 137–138. 物の絵と名前の文字を覚えた後、4回の記憶テストを行った研究。公開要旨を確認。
  • Paivio, A., & Csapo, K. (1973). Picture superiority in free recall: Imagery or dual coding? Cognitive Psychology, 5(2), 176–206. 言葉から物の姿を思い浮かべる条件などを使い、画像と言葉の記憶を比べた研究。公開要旨の範囲で確認。
  • Higdon, K. F., Neath, I., Surprenant, A. M., & Ensor, T. M. (2025). Distinctiveness, not dual coding, explains the picture-superiority effect. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 78(1), 180–191. 画像の色や文字の書体・大きさなどを変えて記憶を比較した研究。2024年にオンライン公開された論文の本文を確認。