第三者効果とは?メディアの影響は自分より他人の方が受けると思う心理
動画やニュース、広告を見て、「自分はこれに流されないけれど、ほかの人は影響を受けそうだ」と思ったことはありませんか。同じ情報について、自分より他人の方が考えや行動を変えられると予想する人がいます。
第三者効果とは、メディアが人に与える影響を考えるとき、自分への影響よりも、他人への影響の方が大きいと見積もりやすい傾向を中心とした考え方です。その見積もりが、情報を制限すべきだと考えることなど、別の判断に関係する場合もあります。
第三者効果とは?自分と他人への影響を違って見積もる
第三者効果は、1983年にフィリップス・デイヴィソンが提唱しました。「第三者」は、情報を見ている自分とは別の、影響を受けると想像される人々を指します(Davison, 1983)。
たとえば、同じ広告を見て、「私がこの商品を買うかどうかにはほとんど影響しない」と考えながら、「ほかの人なら広告を見て買いたくなるだろう」と予想する場合です。ここで比べているのは、実際に買った人数ではなく、広告が自分と他人の判断にどれほど影響すると本人が考えたかです。
研究では、二つの側面が区別されています。一つは、メディアの影響を自分より他人の方が強く受けると見積もることです。もう一つは、「他人は影響を受ける」と考えた結果、その情報を規制すべきだと支持するなど、別の判断や行動につながる可能性です(Sunほか, 2008)。
他人への影響を大きく見積もったとしても、それだけでは本人が実際に影響を受けにくいのか、他人が実際に影響を受けやすいのかは分かりません。第三者効果の中心にあるのは、影響の受けやすさについての予想の違いです。
研究で分かっていること
1983年:同じ選挙報道の影響を、自分より他人に大きく見積もった
デイヴィソンは、複数の小規模な調査を通じて、この考え方を検討しました。その一つでは、1978年に米国の大学院生33人に、ニューヨーク州知事選挙の候補者についての報道が投票に及ぼした影響を尋ねました。
質問したのは、候補者が納税申告書を公開しなかったことを別の候補者が繰り返し批判した報道について、一般の有権者の投票と、自分自身の投票にどれほど影響したと思うかです。影響は0点(影響なし)から7点(非常に大きい影響)までで答えてもらいました。
平均は、一般の有権者への影響が3.4点、自分への影響が2.26点でした。また、他人への影響の方が大きいと答えた人は48%で、自分への影響の方が大きいと答えた人は6%でした(Davison, 1983)。
この調査は参加者が33人と少なく、自分については実際に投票した場合のほか、投票していたらどうだったかという仮定も含みます。報道によって実際の投票先が変わった割合を測った研究ではありません。
1999年:規制への賛成との関係は、話題によって異なった
サルウェンとデュパーニュ(1999)は、米国の成人721人への電話調査を行い、テレビでの暴力的な表現、裁判のテレビ放送、相手候補を批判する政治広告などについて尋ねました。
回答者は、メディアの影響を自分より他人の方が大きく受けると見積もる傾向を示しました。研究者らはさらに、他人への影響をどう考えるかと、放送などを制限することへの賛成との関係を調べました。
テレビの暴力的な表現では、他人の道徳的な判断への悪影響を心配する程度が、規制への賛成と関係していました。一方、裁判のテレビ放送や批判的な政治広告では、メディアの一般的な影響力をどれほど大きいと思うかが、規制への賛成を説明する重要な手がかりでした(Salwen・Dupagne, 1999)。
つまり、「他人が影響を受ける」と思うことは規制を支持する判断にも関係し得ますが、どのような影響を心配するかは話題によって異なります。また、これは調査で見つかった関係であり、他人への影響を大きく見積もることだけが規制への賛成を引き起こしたと証明するものではありません。
2008年:106研究をまとめると、情報の内容によって違いがあった
サン、パン、シェン(2008)は、60本の論文に含まれる106研究から、372件の比較結果を集めて分析しました。さまざまなメディアや話題を調べた研究をまとめると、全体として、自分より他人の方が影響を受けると見積もる傾向が確認されました。
ただし、どのような内容でも同じ強さではありませんでした。好ましくない影響をもたらすと考えられた情報では、この傾向が強く見られました。一方、望ましい影響をもたらすと考えられた情報では、自分の方が影響を受けると見積もる逆向きの結果が平均では見られたものの、明確な差があると判断できるほどではありませんでした(Sunほか, 2008)。
また、比較する相手がその情報に影響されやすい人物として説明されているか、実際にその情報に接する可能性が高いかといった条件も、見積もりの差に関係していました。したがって、第三者効果は相手の特徴や情報の内容にかかわらず必ず生じるものではありません。
2000年:臓器提供を呼びかける情報では、逆向きの評価も見られた
ホワイトとディロン(2000)は、臓器提供を呼びかける公共広告を使い、情報が自分と他人にどれほど影響すると思うかを実験で調べました。参加者には、その広告が他人を説得するのに成功した、成功しなかった、または他人の反応を知らせないという条件を設けました。
この研究では、他人より自分の方が説得されると見積もる、通常とは逆向きの傾向が報告されました。また、他人がその広告を評価していたと知らされた場合は、自分が説得される程度の評価が低くなりました(White・Dillon, 2000)。
臓器提供を呼びかけるような情報と、悪影響が心配される情報では、受け止め方が異なることがあるのです。ただし、この一つの実験で、良い内容の情報なら必ず逆向きの評価が起こると結論づけることはできません。
なぜ、自分より他人の方が影響されると思うのか
一つの説明は、自分には情報を見極める力があると思いたい気持ちです。たとえば、誇張された宣伝を見たとき、「自分は見抜けるが、ほかの人は信じてしまうかもしれない」と考えると、自分の判断力を高く評価していることになります。
また、「他人」として誰を思い浮かべるかも関係します。自分と似た経験や知識のある人を想像する場合と、情報にだまされやすそうな人を想像する場合では、影響の予想が変わり得ます。2008年の研究のまとめでも、情報の好ましさや、影響を受けるとされる人の特徴が重要な条件として示されました(Sunほか, 2008)。
こうした説明は、結果の違いを理解するための考え方です。どの人がどの理由で他人への影響を大きく見積もったかまで、一つに決まっているわけではありません。
身近な場面で考える
たとえば、家電製品の広告を見た人が、「大幅値引きという言葉が目立つけれど、私はすぐには買わない」と考えたとします。その一方で、「友人やほかの買い物客は、この広告を見たら購入してしまいそうだ」と予想したなら、第三者効果に似た見積もりが表れています。
これは研究参加者の実話ではなく、仕組みを理解するための仮の例です。実際にその人が広告の影響を受けないか、友人が買いたくなるかは、広告を見たときの予想だけでは分かりません。
自分と他人への影響を比べるときには、「自分は影響されない」という自信と、実際に何を見て、何を選んだかを分けて考えることが役立つかもしれません。ほかの人についても、誰がどんな状況でその情報を見るのかを具体的に考えると、根拠のない決めつけを減らす手がかりになります。これは研究から考えられる工夫で、必ず判断を正確にする方法として実証されたものではありません。
第三者効果が教えてくれるのは、メディアが人に及ぼす影響そのものと、その影響を自分や他人についてどう予想するかは、別の問題だということです。
参考文献・出典
- Davison, W. P. (1983). The Third-Person Effect in Communication. Public Opinion Quarterly, 47(1), 1–15. 第三者効果の提唱と、小規模な調査での自分と他人への影響の見積もりの差を示した原著論文。
- Salwen, M. B., & Dupagne, M. (1999). The Third-Person Effect: Perceptions of the Media’s Influence and Immoral Consequences. Communication Research, 26(5), 523–549. 米国成人721人の電話調査で、影響の見積もりとメディア規制への賛成との関係を調べた研究。
- Sun, Y., Pan, Z., & Shen, L. (2008). Understanding the Third-Person Perception: Evidence From a Meta-Analysis. Journal of Communication, 58(2), 280–300. 60論文・106研究をまとめ、メディア内容の好ましさや比較する相手の特徴による違いを検討した分析。
- White, H. A., & Dillon, J. F. (2000). Knowledge about Others’ Reaction to a Public Service Announcement: The Impact on Self Persuasion and Third-Person Perception. Journalism & Mass Communication Quarterly, 77(4), 788–803. 臓器提供を呼びかける公共広告を用いて、他人の反応について知らされた内容と自分への影響の見積もりを調べた実験。