バンドワゴン効果とは?人気や流行が選択に与える影響
書店で気になっていた本を探しているとき、「今月の売上ランキング1位」という表示を見て、別の本も急に読みたくなることがあります。たくさんの人が選んでいると知るだけで、選択肢の魅力が変わる場合があるのです。
バンドワゴン効果とは、ほかの人が選んだり使ったりしていることが、そのものを自分も選びたい気持ちや需要をさらに高める現象です。人気や流行が次の人の選択に影響し、人気が広がることがあります。
バンドワゴン効果とは?人気が人気を呼ぶ仕組み
経済学者のLeibensteinは1950年、商品の性能や価格だけでなく、ほかの人も同じ商品を使っていること自体が、その商品を欲しがる理由になる場合を、バンドワゴン効果として整理しました。周囲に合わせたい、流行に参加したい、仲間と同じものを持ちたいという気持ちが関わります(Leibenstein, 1950)。
たとえば、友人の間で同じ型の水筒を持つ人が増えたとします。その水筒の機能を調べる前から、「みんなと同じものを使ってみたい」と思うなら、周囲の利用そのものが魅力になっています。利用者が増えることで、自分も使いたい人が増えるという流れです。
ただし、人気には別の意味もあります。利用者が多い商品には情報や交換部品が見つかりやすいなどの利点があるかもしれませんし、評判のよさが品質を知る手がかりになることもあります。人気を参考にしただけで、必ず判断が偏っているとは言えません。人気そのものに魅力を感じているのか、自分にとって役立つ情報や利点があるのかを分けて考えることが大切です。
研究で分かっていること
ほかの人の選択が見えると、曲の人気の差が広がった
Salganik、Dodds、Wattsは2006年、参加者14,341人が、まだ広く知られていない48曲を試聴し、気に入ればダウンロードできる実験を行いました。参加者は、ほかの人のダウンロード数を見ずに選ぶ条件と、それを見ながら選べる条件に分けられました。
さらに、過去のダウンロード数を見られる参加者は、ほかのグループの選択が分からない八つのグループに分かれていました。同じ曲を選べる仕組みでも、各グループでどの曲が人気になるかを比べられます。
その結果、ほかの人の選択が見える条件では、人気曲と不人気曲の差が大きくなり、どの曲が人気になるかもグループによって変わりやすくなりました。一方、他人の選択を見せない条件でよく選ばれた曲は、ほかの条件でも極端な不人気にはなりにくい傾向がありました。曲そのものへの好みも、結果に関わっていたと考えられます(Salganikら, 2006)。
この実験が示すのは、ほかの人の選択が分かることによって、集団全体の人気の分布が変わり得るということです。人気が高いものが必ず最も優れているとも、人気がすべて偶然で決まるとも言えません。
最初に付いた評価が、その後の評価にも影響した
Muchnik、Aral、Taylorは2013年、ニュースを共有するサイトのコメントに、研究者が最初の肯定的または否定的な評価を無作為に付け、その後の利用者の反応を調べました。
研究者が最初に肯定的な評価を付けたコメントでは、評価を追加しなかった群と比べ、操作後に最初に閲覧した利用者が高評価を付ける確率が32%高くなりました。また、高評価の数から低評価の数を引いた最終スコアの平均も、評価を追加しなかった群より25%高くなりました。反対に、最初に否定的な評価が付いた場合には、ほかの利用者がそれを打ち消すように評価する傾向が見られました。影響は話題や、評価する人が誰の意見を見ているかによっても異なりました(Muchnikら, 2013)。
この実験が調べたのはコメントへの評価行動で、商品の購入ではありません。先ほどの音楽実験も含め、参加者が「周囲に合わせたい」と感じたのか、ダウンロード数や高評価を内容の良さの手がかりにしたのかは区別できません。二つの実験は、他人の選択や評価が後の行動に影響し得ることを示していますが、その心理的な理由まで特定したものではありません。
影響が起こる条件は一つではない
Bindraらは2022年、1970年から2021年までのバンドワゴン効果に関する経営・消費者行動の研究を整理しました。対象となる場面や、効果を説明する考え方、調べ方が多岐にわたることが示されています(Bindraら, 2022)。
したがって、音楽を選ぶ実験やコメントを評価する実験の結果を、そのままあらゆる商品や人間関係に当てはめることはできません。人気がどう表示され、何を選ぶ場面なのかが重要です。
身近な場面で考える
たとえば、週末に本を一冊買おうとしている人が、あらすじが気に入った小説Aと、書店で「売上ランキング1位」と紹介されている小説Bの間で迷ったとします。最初はAを読みたいと思っていたのに、Bを選んでいる人が多いと知り、Bに気持ちが傾きました。
この人が「多くの人が読んでいるなら、友人とも話題にできそうだ」と感じたなら、人気そのものが本を読む楽しみの一部になっています。一方、「多く売れているなら、内容も自分に合うはずだ」と考えた場合は、人気を本の内容についての手がかりにしています。どちらの理由もあり得ますが、実際に読みたい内容かどうかは、ランキングだけでは分かりません。
こうしたときは、ランキングを見たことで気持ちが変わったのか、あらすじや試し読み、友人と話題にできるといった自分にとっての理由があるのかを考えると、人気の影響を整理しやすくなります。
バンドワゴン効果は、多くの人が選ぶものに、さらに人が集まることがあるという現象です。人気が生まれる背景には商品の魅力も周囲の選択の影響もあり得るため、人気の数字だけで品質を決めつけず、自分が何を求めているかと合わせて考えることが大切です。
参考文献・出典
- Leibenstein, H. (1950). Bandwagon, Snob, and Veblen Effects in the Theory of Consumers’ Demand. — 他人が同じ商品を使うことによって需要が変わる現象を理論的に整理した論文。
- Salganik, M. J., Dodds, P. S., & Watts, D. J. (2006). Experimental study of inequality and unpredictability in an artificial cultural market. — 14,341人を対象に、ほかの人の選択情報が音楽のダウンロードに与える影響を調べた実験。
- Muchnik, L., Aral, S., & Taylor, S. J. (2013). Social influence bias: A randomized experiment. — コメントへの最初の評価を操作し、その後の評価行動がどう変わるかを調べた実験。
- Bindra, S., Sharma, D., Parameswar, N., Dhir, S., & Paul, J. (2022). Bandwagon effect revisited: A systematic review to develop future research agenda. — 消費者行動などの分野で、バンドワゴン効果についてのこれまでの研究を整理し、対象や方法の違いを示した論文。