スノッブ効果とは?人と同じものを避けたくなる買い物の心理

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

ずっと気になっていたバッグを持つ人が街で増え、「ほかの人とかぶらないところが好きだったのに」と興味が薄れることがあります。バッグのデザインや使いやすさが変わらなくても、ほかの人が持っているかどうかが魅力に関わるのです。

スノッブ効果とは、同じ商品を持ったり使ったりする人が増えることで、自分がその商品を欲しいと思う気持ちが弱まる現象です。人とは違うものを選びたい、自分だけのものを持ちたいという気持ちが関わる場合があります。

スノッブ効果とは?ほかの人の利用が魅力を変える仕組み

経済学者のLeibensteinは1950年、商品の価格や性能だけでなく、ほかの人が同じ商品を使っているかによっても、商品への需要が変わると説明しました。その中で、他人の利用が増えるほど需要が減る方向を「スノッブ効果」と呼びました(Leibenstein, 1950)。ここでいう需要は、その商品を買いたいという人々の希望を、購入しようとする量で捉えたものです。

これとは反対に、同じ商品を使う人が増えるほど自分も欲しくなる傾向は「バンドワゴン効果」と呼ばれます(Leibenstein, 1950)。同じ人気の情報でも、周囲と同じものを持ちたい人と、違うものを持ちたい人とでは反応が変わり得ます。

「ほかの人が持っていないこと」と「販売に用意された数が少なく手に入りにくいこと」は、関連しますが同じではありません。大量生産されていても自分の周囲では誰も使っていない商品もあれば、限定品でも友人たちがそろって持っている商品もあります。スノッブ効果の中心は、ほかの人が同じ商品を使うことによって、自分の欲しさがどう変わるかです。

研究で分かっていること

人と違う選択を好む程度は、品物によって違った

BergerとHeathは2007年、消費者が周囲と違うものを選ぶのはどのような場面かを調べました。論文の予備調査では、大学生51人に音楽や髪形、日用品など19の分野について、ほかの学生の65%、25%、10%がそれぞれ選んでいると示した三つの候補から、好きなものを選んでもらいました。

最も少数派の候補を選んだ割合は、好きな音楽のCDでは67%でしたが、食器用洗剤では6%でした。さらに別の四つの研究では、音楽や髪形など、自分がどんな人かを表すと感じられる分野で、多数派が選ぶものや、自分とは異なる集団と結び付くものを避けやすい傾向が示されました(Berger & Heath, 2007)。

つまり、周囲と違うものを選ぶかどうかは、何を選ぶ場面なのかにも関係します。ただし、この研究が調べたのは選択や好みであり、実際に所有者が増えた商品への需要がどのくらい減るのかを直接測ったものではありません。

独自性を重視する買い手がいる市場を実験した

AmaldossとJainは2005年、ほかの人の購入が増えるほど商品に魅力を感じなくなる買い手と、逆に魅力が増す買い手が同じ市場にいる状況を理論的に分析し、実験室でも調べました。実験では、他人が買う人数に応じて商品の価値が変わる条件を参加者に設定し、価格を提示して買うかどうかを判断してもらいました。

その結果、周囲と同じものを買いたい人がいる市場では、価格が上がってその人たちの購入が減ると、ほかの人があまり買わないことを好む人の購入がかえって増える場合がある、という理論の予測を実験結果がおおむね支持しました(Amaldoss & Jain, 2005)。

この実験では、他人の購入人数によって商品価値が変わるルールが、あらかじめ設定されていました。現実の消費者のうち何割が自然にスノッブ効果を示すかを測った研究ではありません。また、単に価格が高いから欲しくなったという結果でもありません。

限定商品では、用意された数が少ないことに価値があった

Caouiらは2025年、限定デザインのサンダル型の靴がオンラインの入札方式で売られた際のデータを調べました。色やサイズによって販売に用意された数量が異なることなどを利用し、商品の珍しさが買い手の評価にどう関係するかを分析しました。

用意する数量を2倍にした場合、買い手が支払ってもよい金額は8〜15%低くなると推定されました。この商品では、珍しさそのものが価値の一部になっていたと考えられます(Caouiら, 2025)。

ただし、ここで調べたのは商品の供給量と入札で示された評価です。実際にほかの人が何人持っているかによって需要が下がるスノッブ効果を、直接測ったものではありません。珍しさを重視する選択と、他人と同じものを避ける選択は分けて考える必要があります。

身近な場面で考える

たとえば、ある人が雑貨店で手帳を探しているとします。価格や機能がほぼ同じ二冊のうち、一冊は友人の間で人気の柄、もう一冊は周囲でほとんど見かけない柄です。その人はどちらの柄も気に入っていますが、「友人と同じものになるなら、あまり見かけない方にしよう」と珍しい柄を選びました。

この仮の場面では、手帳そのものへの好みに加え、周囲の人と同じものを持つかどうかが選択に影響しています。違いを大切にして選んだのなら、スノッブ効果の考え方に近い判断です。一方、単に珍しい柄の色や模様が好みだったのであれば、他人との違いが理由だったとは限りません。

自分の買い物を考えるときには、「友人がどちらの柄を使っているか知らなくても、同じ手帳を選ぶだろうか」と問い直すと、商品への好みと、周囲と違うものを選びたい気持ちを分けて考えやすくなります。

参考文献・出典