集団極性化とは?話し合いによって意見が極端になる仕組み

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

話し合えば、違う意見が少しずつ近づいて、真ん中あたりに落ち着くと思うかもしれません。ところが、似た考えの人たちで話すと、かえって最初の意見が強まることがあります。

集団極性化とは、話し合う前から集団の中で優勢だった考えの方向へ、話し合い後の意見や判断がさらに強まる傾向です。積極的な方向だけでなく、慎重な方向にも起こりえます。ただし、どの集団でも必ず起きるわけではありません。

集団極性化とは?話し合う前の傾向が強まる現象

たとえば、新しい企画を始めるかどうかを相談するとします。話し合う前から賛成寄りの人が多い集団では、議論の後に、以前より強く実施を支持するようになる場合があります。反対寄りの人が多ければ、さらに慎重な判断へ傾く場合もあります。

研究では、参加者が話し合う前にどのような意見を持っていたかと、話し合った後にどう答えたかを比べます。集団の当初の傾向が、話し合いを経てより強くなったかが重要です。全員が同じ結論になったことや、一人が強く主張したことだけでは、集団極性化が起きたとは判断できません。

「極性化」という名前から、集団内で賛成派と反対派が対立する様子を想像するかもしれません。しかし、ここで扱うのは主に、集団内の意見が話し合い前の方向へ強まる現象です。同じ方向の意見が強まることと、集団内の対立が激しくなることは区別する必要があります。

1969年の実験では、話し合い後の意見はどう変わったのか

MoscoviciとZavalloni(1969)は、男子生徒140人を対象に、政治家や国に対する意見などを、個人で答える場合と集団で答える場合で比較しました。参加者は最初にそれぞれ意見を示し、その後に集団で話し合って共通の回答を決め、話し合いの後に再び個別に回答しました。

その結果、集団で話し合って決めた回答は、話し合う前の個人の意見を平均したものより、もともとの方向に強く傾く傾向が見られました。さらに、話し合いが終わった後の個人の回答にも同じ方向への変化が確認されました(Moscovici & Zavalloni, 1969)。

この実験で確かめられたのは、用意された話題について意見を表し、話し合って共通の回答を出す条件での変化です。あらゆる集団の話し合いが極端な結論に至ることを示したわけではありません。

なぜ話し合うと、元の意見が強まるのか

集団極性化を説明する考え方には、大きく分けて二つあります。

  • 同じ方向を支持する理由が増える:似た意見の人たちが集まると、自分が知らなかった賛成理由や反対理由を聞くことがあります。もともとの考えを支える材料が増え、その立場をさらに強く支持するようになる、という説明です。
  • 周りの人と自分の立場を比べる:ほかの人の意見を聞いて、「自分は思ったほど積極的ではない」と感じ、集団の中で好ましいと思われる方向へ判断を強める、という説明です。

Burnsteinら(1973)は、危険を伴う選択について、ほかの人がどの選択をしたかという情報と、選択を支持する理由の数を分けて変える実験をしました。その結果、判断の変化に明確に関係したのは理由の数で、他人の選択について得られる情報の量による差は、この実験では確認されませんでした(Burnstein, Vinokur, & Trope, 1973)。

一方、Isenberg(1986)は、1974~1982年に発表された21本の研究から33の独立した結果をまとめ、理由による説得と、周囲との比較の両方が関わると考えました。まとめた結果では、説得力のある理由による影響の方が大きい傾向にありました(Isenberg, 1986)。

つまり、理由を聞いて考えが変わる場合と、周囲の立場を意識して判断が変わる場合の両方が考えられます。どちらがどれほど働くかは、話題や話し合いの条件によって異なります。

似た考えの人が集まれば、必ず意見が強まるのか

話し合いの進め方によっては、当初の意見が強まらないこともあります。Grönlundら(2015)は、フィンランドの市民207人が参加した実験で、移民政策について似た考えの人だけで話す集団と、異なる考えの人が混ざって話す集団を比べました。参加者には事実に関する資料が示され、集団では進行役が付き、意見を尊重して理由を説明する決まりの下で議論しました。

その結果、移民の受け入れに慎重だった人だけの集団では、話し合い後に、むしろ受け入れに寛容な方向へ意見が変わりました。一方、受け入れに前向きだった人だけの集団では、わずかながらその立場を強める変化も見られました(Grönlund, Herne, & Setälä, 2015)。

この研究では、資料の提供、進行役、議論の決まりが組み合わされています。そのため、どれか一つが意見の極端化を防いだとまでは言えません。それでも、似た意見の人だけで話せば、必ずさらに極端になるわけではないことを示しています。

身近な場面で考える

たとえば、地域の催しの開催時間を延ばすかどうか、準備担当の数人で相談するとします。集まった人たちは、話し合う前から「少し延ばしたい」と考えていました。そこで、来場者が増える、夕方から参加できる人が助かる、といった延長の利点が次々に挙がります。最初は30分程度の延長を考えていた人も、話し合いの後には、もっと長い延長を支持するかもしれません。

これは集団極性化を考えるための仮の例です。延長を支持する理由が増えたことで判断が変わる可能性はありますが、実際に長く開催する方がよいかどうかは、費用や安全面なども調べて決める必要があります。

話し合いでは、参加者が議論前の意見をそれぞれ書き出し、案を支持する理由だけでなく、不利な条件や別の選択肢も確かめると、意見がどう変わったかを振り返りやすくなります。これは日常の判断を整理するための提案であり、どんな集団でも意見の偏りを防げると証明された手順ではありません。

集団極性化を知ると、話し合いで意見が強まったときに、内容を十分に比べた結果なのか、似た方向の理由や周囲の意見に影響されたのかを、改めて考える手がかりになります。

参考文献・出典

Moscovici, S., & Zavalloni, M. (1969). The group as a polarizer of attitudes. Journal of Personality and Social Psychology, 12(2), 125–135. 個人の意見、集団で合意した回答、話し合い後の個人の意見を比較した原実験の根拠です。

Burnstein, E., Vinokur, A., & Trope, Y. (1973). Interpersonal comparison versus persuasive argumentation: A more direct test of alternative explanations for group-induced shifts in individual choice. Journal of Experimental Social Psychology, 9(3), 236–245. ほかの人の選択と、提示される理由の数を分けて調べた実験の根拠です。

Isenberg, D. J. (1986). Group polarization: A critical review and meta-analysis. Journal of Personality and Social Psychology, 50(6), 1141–1151. 理由による説得と周囲との比較について、複数の研究結果をまとめた分析の根拠です。

Grönlund, K., Herne, K., & Setälä, M. (2015). Does enclave deliberation polarize opinions?. Political Behavior, 37, 995–1020. 似た考えの人だけの集団と異なる考えが混ざる集団で、話し合い前後の意見を調べた実験の根拠です。