錯誤相関とは?二つの特徴の結び付きを実際より強く見積もる心理

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

ある集団について、印象に残る出来事をいくつか聞き、「この集団には、こういう特徴がある」と感じたことはないでしょうか。実際の割合を確かめると、その印象とは違う場合があります。

錯誤相関とは、二つの出来事や特徴の間に、実際にはない結び付きを感じたり、実際より強い結び付きがあると判断したりする心理現象です。特に、珍しい出来事が重なると、その組み合わせを強く印象に残し、全体の傾向だと受け止めることがあります。

錯誤相関とは?二つの特徴を結び付けてしまう心理

たとえば、「ある集団に属していること」と「好ましくない行動をすること」の間に関係があるかを考えるとします。本当に関係があるかを判断するには、その集団で好ましくない行動がどれくらいの割合で起き、ほかの集団ではどれくらい起きているかを比べる必要があります。

ところが、人は見聞きした出来事の数や割合を、いつも正確に覚えているわけではありません。人数の少ない集団についての話と、めったに起こらない行動の話が重なると、両方が珍しいため、印象に残りやすいと考えられています。その組み合わせを実際より多く起きているように判断することが、錯誤相関の一つの現れ方です(Hamilton & Gifford, 1976)。

また、もともと「この二つは関係がありそうだ」と考えている場合にも、実際には結び付きのない情報を関係があるように受け取ることがあります。つまり、錯誤相関には、目立つ組み合わせへの注目や、以前から抱いている予想など、複数のきっかけがあります(Chapman, 1967)。

割合は同じなのに、少ない集団が悪く見えた実験

HamiltonとGiffordは1976年に、架空の二つの集団についての文章を参加者に読んでもらう実験を報告しました。文章には、ある人がどちらの集団に属し、好ましい行動と好ましくない行動のどちらをしたかが書かれていました。参加者には、BはAより人数の少ない集団だと説明されました。

最初の実験で示された39件の文章の内訳は、次のとおりです。

文章で紹介された行動 Aグループ Bグループ
好ましい行動 18件 9件
好ましくない行動 8件 4件
合計 26件 13件
好ましくない行動の割合 約31% 約31%

Bグループについての文章はAグループの半分しかありません。しかし、好ましくない行動の割合は、Aが26件中8件、Bが13件中4件で、どちらも同じです。この情報だけを見れば、どちらかの集団の方が好ましくない行動をしやすいとは言えません。

それでも、参加者に各行動がどちらの集団のものだったかを答えてもらうと、好ましくない行動を実際より多くBグループのものとする傾向が見られました。集団の印象を尋ねた結果でも、BグループはAグループより好ましくない特徴を持つと評価されました。参加した学生は40人でした。そのうち、行動をした人の所属集団を答える課題で、Aに割り当てた回答が半数に達しなかった7人を除き、33人の回答を主に分析しています。40人全員を含めた分析でも、結果の傾向はほぼ同じでした(Hamilton & Gifford, 1976)。

この研究で示されたのは、集団ごとの行動の割合が同じでも、少ない集団と珍しい行動の組み合わせから、違う印象が生まれる場合があるということです。研究者は、目立つ二つの情報が重なると、その結び付きを強く受け止めることが一つの理由だと考えました。

同じ論文の別の実験では、好ましい行動の方を珍しいものにすると、今度は少数のBグループがAグループより好ましく評価されました。少数の集団だから悪く見えるのではなく、どの種類の行動が珍しいかによって、評価が変わることを示す結果です(Hamilton & Gifford, 1976)。

ほかの研究から分かること

錯誤相関は、集団への印象だけで見られる現象ではありません。Chapmanが1967年に行った研究では、参加者に単語を見せ、その現れ方に関係があるかを判断してもらいました。実際には一緒に現れる関係がない単語同士でも、もともと意味のつながりを連想しやすい組み合わせは、関係があると報告される傾向がありました(Chapman, 1967)。

また、MullenとJohnsonが1990年にそれまでの研究をまとめて分析したところ、珍しい組み合わせに基づく錯誤相関は全体として確認され、珍しい行動が好ましくない内容である場合に、より強く現れる傾向が報告されました(Mullen & Johnson, 1990)。

ただし、錯誤相関の起こり方は、見聞きする情報の量によっても変わります。Murphyらが2011年に報告した二つの実験では、架空の集団について学ぶ量が少ない段階では偏りが見られず、ある程度学ぶと現れ、さらに学習を重ねると弱まり、見られなくなりました。研究者は、珍しい組み合わせが目立つという説明だけでなく、集団と行動の関係をまだ十分に学んでいないことによっても、この偏りを説明できると考えました(Murphy et al., 2011)。

これらは特定の文章や学習課題を用いた実験の結果です。実際の集団について、誰もが同じ偏りを示すという意味ではありません。

身近な場面で考える

たとえば、二つの飲食店の口コミを比べるとします。A店には20件の口コミがあり、そのうち4件が接客への不満でした。B店には10件の口コミがあり、そのうち2件が接客への不満でした。

どちらの店も、不満の口コミの割合は20%です。それでも、口コミの件数が少ないB店について接客への不満を読んだ人が、その組み合わせを強く覚え、「B店には不満の口コミが多い」と受け止めるかもしれません。これは錯誤相関を理解するための仮の例です。実際の口コミでは、投稿する人の偏りなどもあるため、口コミの割合だけで店の接客の良し悪しを決められるわけではありません。

二つの特徴が結び付いていると感じたときは、印象に残った例だけでなく、その特徴がなかった例も含めて、全体の件数と割合を比べると判断材料を整理できます。錯誤相関は、「何度も見た気がする」「強く印象に残っている」という感覚と、実際に起きた割合が一致するとは限らないことを教えてくれます。

参考文献・出典

Chapman, L. J. (1967). Illusory correlation in observational report. Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior, 6(1), 151–155. 意味のつながりを連想しやすい単語や目立つ組み合わせについて、実際にはない関係を見いだす実験の根拠です。

Hamilton, D. L., & Gifford, R. K. (1976). Illusory correlation in interpersonal perception: A cognitive basis of stereotypic judgments. Journal of Experimental Social Psychology, 12(4), 392–407. 二つの架空の集団について、好ましくない行動の割合が同じでも集団の印象に違いが生じた実験の根拠です。

Mullen, B., & Johnson, C. (1990). Distinctiveness-based illusory correlations and stereotyping: A meta-analytic integration. British Journal of Social Psychology, 29(1), 11–28. 複数の研究をまとめ、珍しい行動の内容によって錯誤相関の強さが変わることを検討した分析の根拠です。

Murphy, R. A., Schmeer, S., Vallée-Tourangeau, F., Mondragón, E., & Hilton, D. (2011). Making the illusory correlation effect appear and then disappear: The effects of increased learning. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 64(1), 24–40. 学習の量によって、架空の集団に対する錯誤相関が現れたり弱まったりした実験の根拠です。