自己確証理論とは?自分についての見方に合う評価を求める心理

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

自分のことを「人前で話すのは苦手だ」と思っている人が、友人から「誰とでも堂々と話せるね」と褒められたとします。嬉しい言葉のはずなのに、「本当の自分を分かっていないのでは」と感じることがあるかもしれません。

自己確証理論とは、人は自分がどのような人間だと思っているかに合う評価を、他人から得ようとすることがあるという考え方です。自分について良い見方をしている場合だけでなく、否定的な見方をしている場合にも、この傾向が研究されています。

自己確証理論とは?「自分が思う自分」に合う評価を求める

ここでいう「自己」とは、自分はどんな性格で、何が得意・不得意だと思っているかといった、自分についての見方です。「確証」とは、その見方が合っていると思える情報を得ることです。

たとえば、自分を「人とすぐ打ち解けられる」と捉える人は、社交的だという評価に納得しやすいでしょう。一方、自分を「人付き合いが苦手」と捉える人は、同じように褒められても違和感を覚えるかもしれません。後者にとっては、苦手な面を理解しているという評価のほうが、本人の自己像に合っている場合があります。

心理学者のSwannらは、周囲から自分が思う自分に合った反応を得ることで、人は相手が次にどう接してくるかを予想しやすくなり、社会生活の中で自分についての一貫した感覚を保ちやすくなると考えました(Swannら, 1992)。

ただし、自己像に合う評価が、事実として正しいとは限りません。本人が自分の能力を低く見積もっていることも、他人が本人の知らない長所に気づくこともあります。また、否定的な評価を求めることがあっても、傷つく言葉を喜んでいるとは限りません。

「良く評価されたい」という気持ちとはどう違うのか

人には、自分を良く思いたい、褒められたいという気持ちもあります。しかし、気分が良くなる評価と、自分についての見方に合う評価は、いつも同じではありません。

KwangとSwann(2010)は関連研究をまとめ、良い評価を求める気持ちも、自分の見方と一致する評価を求める気持ちも、人の反応に関わると整理しました。どちらか一方だけで、他人の評価に対する反応のすべてを説明できるわけではありません(Kwang & Swann, 2010)。

研究で分かっていること

評価を探す・相手から引き出す・思い出す場面で確認された

SwannとRead(1981)は三つの研究で、人が自分の見方に合う情報と、合わない情報をどのように扱うかを調べました。

  • 評価を探すとき:自分の見方に合う反応が得られそうだと思うと、その相手からの評価を知ろうとしやすくなりました。
  • 人とやり取りするとき:相手が自分について異なる印象を持っていそうな場合には、会話の中で、自分の見方に合う反応を引き出しやすくなりました。
  • 評価を思い出すとき:後から振り返ると、自分の見方に合った反応を思い出しやすい傾向が見られました。

この結果は、自己確証が「どの評価を受け取りたいか」という一度の選択だけではなく、人とのやり取りのさまざまな場面に表れ得ることを示しています(Swann & Read, 1981)。ただし、研究で扱った実験の場面での結果であり、すべての人がいつも同じ情報を選ぶという意味ではありません。

自分を否定的に見ている人が、厳しい評価を求める場合もあった

Swann、Pelham、Krull(1989)は三つの研究で、参加者が自分のさまざまな特徴をどう評価しているかと、どのような他人からの評価を求めるかの関係を調べました。

自分が良いと思っている特徴については、肯定的な評価が求められやすい一方、自分が悪いと思っている特徴については、否定的な評価が求められる場合がありました。これは、自分全体への自信が高い人にも低い人にも見られた傾向でした(Swannら, 1989)。

つまり、「自信のない人は厳しい評価だけを求める」という話ではありません。同じ人でも、自信のある特徴については褒められたいと感じ、自信のない特徴については厳しい評価のほうを正確だと思う場合があるのです。

否定的な評価をする相手を選ぶ理由にも違いがあった

Swannら(1992)は二つの研究で、参加者が自分について評価してくれる相手を選ぶ際、選んだ理由をどのように説明するか調べました。

自分を肯定的に見ている人が好意的な評価をする相手を選ぶときには、気分が良くなることと、自分について正しく理解されているという感覚の両方が関係していました。一方、自分を否定的に見ている人が厳しい評価をする相手を選ぶ理由は、相手の評価のほうが自分を正確に捉えているという考え方で、よりよく説明されました(Swannら, 1992)。

この実験が示すのは、気持ちの良い評価より、正しいと感じる評価を重視する場合があるということです。否定的な扱いが本人にとって望ましいという結論ではありません。

信頼できる人からの評価なら、予想外の内容にも耳を傾けた

Szumowskaら(2022)は、成人342人を対象とした事前に計画を登録した二つの研究で、対人関係の能力について、自分の見方に合う評価と合わない評価のどちらを読みたいか調べました。自分の見方と異なる評価の発信者については、学生か経験のある心理学者かという情報を変えました。

自分の見方と違う評価が学生からのものだと説明された場合には、自分の見方に合う評価が好まれました。しかし、違う評価が経験豊富な心理学者からのものだと説明された場合には、その好みは見られなくなりました。一部の比較では逆の方向への変化も確認されました(Szumowskaら, 2022)。

この結果は、自分の見方との一致だけでなく、評価の発信者を信頼できると思うかも大切だと示しています。ただし、実験で操作したのは発信者について参加者に伝えた情報であり、専門家の評価が実際に正確だったと証明したものではありません。

身近な場面で考える

たとえば、地域のサークルで記録係をしている人が、自分を「慎重に準備するタイプ」だと思っているとします。仲間に「計画を丁寧に確認する人だね」と言われると納得できても、「思いつきで何でも決める人だね」と言われると、自分のことを知らないと感じるかもしれません。

これは研究で観察された出来事ではなく、自己確証理論の仕組みを理解するための仮の例です。相手の評価が本人の見方と違っていても、相手が見ていた行動に根拠がある場合はあります。

自分への評価に強い違和感を覚えたときは、その言葉が「自分の思う自分」に合わないからなのか、具体的な事実と合わないからなのかを分けて考えると、新しい一面を知る手がかりになるかもしれません。これは研究を踏まえた日常への提案であり、必ず自己理解が深まると確認された方法ではありません。

参考文献・出典