チアリーダー効果とは?集団の中の顔と単独の顔で印象は変わるのか

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

同じ人の顔でも、一人で写っている写真と、友人たちと並んでいる写真では、魅力の感じ方が変わることがあるのでしょうか。

チアリーダー効果とは、同じ顔が一人で示されたときより、ほかの顔と一緒に示されたときの方が、魅力的だと評価されやすくなる現象です。複数の実験でその傾向が確認されています。ただし、誰でも必ず魅力的に見えるわけではなく、周囲の顔や見せ方によって逆の結果になることもあります。

チアリーダー効果とは?同じ顔を集団内と単独で比べる

この効果で比べるのは、同じ人物の顔です。顔を一つだけ見せたときの魅力の評価と、複数の顔が並んだ中でその人物を見せたときの評価を比べます。顔の形そのものが変わるのではなく、周囲に別の顔があることで、見る人の評価が変わるという話です。

名前に「チアリーダー」とありますが、チアリーダーだけに起こる現象ではありません。研究では、一般の人物の顔写真などを使っています(Walker & Vul, 2014)。

似た研究に、複数人の集団全体の魅力を、一人ひとりの評価の平均より高く見積もる「集団魅力効果」があります。こちらは集団を一つの対象として評価する研究です。チアリーダー効果は、集団の中にいる特定の一人の顔を評価する点が違います(van Osch et al., 2015)。

なぜ集団の中では魅力的に見えることがあるのか

ウォーカーとヴァルは、複数の顔を見ると、人はそれぞれの細部だけでなく、顔全体のおおよその共通点も捉えると考えました。そして、集団の中の一人の顔を見るとき、その顔を集団の平均的な顔に少し近いものとして捉える可能性を提案しました。平均的な顔が魅力的に感じられやすいことと組み合わさり、一人の顔の評価も高くなるという説明です(Walker & Vul, 2014)。

ただし、これは研究者が提案した仕組みであり、効果が起こる理由としてすべて確かめられたわけではありません。後の研究では、集団全体や顔を合成して作った平均的な顔の魅力と、一人の顔の評価が上がる大きさとの間に、明確な関係が見つかりませんでした(Carragher et al., 2021)。

もう一つ考えられるのは、周りの顔との比較です。同じ顔でも、周囲の人と並べて見たときに、相対的に魅力的だと感じる場合があります。反対に、周囲の顔を非常に魅力的だと感じると、評価したい一人の顔が単独のときより低く評価されることもあります(Burns et al., 2021)。

研究で分かっていること

最初の5実験では、集団内の顔が高く評価された

ウォーカーとヴァルは2014年、同性の顔が並んだ写真の中で一人の顔を見せる場合と、その顔を単独で見せる場合を比較しました。5つの実験を通じて、集団の中で示された顔の方が、魅力的だと評価される傾向が見られました。見る時間や集団の人数などを変えても、同じ方向の結果が得られました(Walker & Vul, 2014)。

ここで調べたのは、写真に写った顔の魅力を人がどう採点するかです。その人の性格や、実際に好かれやすいかどうかを調べた結果ではありません。

中国の研究では、全身写真と顔写真で異なる効果を調べた

ペンら(2020)は、中国の参加者計1,005人を対象に、写真を使った二つの研究を行いました。研究I(813人)では全身の人物写真を使い、同じ人物を集団の中で見た場合と単独で見た場合の魅力の評価を比べました。その結果、集団内で示した人物の方が、単独で示した場合より高く評価される傾向が見られ、チアリーダー効果を支持しました(Peng et al., 2020)。

研究II(192人)では顔だけの写真を使い、9人の顔が並ぶ画像について集団全体の魅力を評価した後、そこに含まれる各人の顔も評価してもらいました。集団全体への評価は、個人に付けた評価の平均より高くなる傾向がありました。これは集団魅力効果の検証です。研究IIでは、同じ顔を集団内と単独で見せて比較していないため、顔写真によるチアリーダー効果の追試とは区別する必要があります(Peng et al., 2020)。

集団に入ると、逆に評価が下がる場合もある

キャラガーらの2021年の3実験では、同じ顔を集団内で見せると、単独で見せるより魅力の評価が高くなる結果が再び得られました。一方、その変化の大きさは、本人の顔や周囲の集団の魅力の高さだけでは説明できませんでした(Carragher et al., 2021)。

バーンズらの2021年の実験では、評価する顔の周囲に非常に魅力的な顔を並べると、その人の評価が単独のときより下がる結果も見られました。つまり、集団の中に入れば必ず評価が上がるのではなく、周囲にどんな顔があるかも関わります(Burns et al., 2021)。

顔を見る時間も影響の大きさに関わる

ワンらは2025年、計473人が参加した5つの実験で、複数の顔を見せてから、どの顔を評価するか知らせるまでの時間などを変えました。その結果、評価する顔を知らせる前に集団を見る時間が長くなると、効果は全体として小さくなる傾向が見られました。ただし、変化は一定ではなく、短い時間で効果が最も大きくなる範囲も見つかりました。一方、評価する顔を知らせた後の時間を変えた実験では、効果の大きさに明確な違いは確認されませんでした(Wang et al., 2025)。

この結果は、人が集団を見ている間に、個々の顔の評価につながる情報が受け取られている可能性を示しています。ただし、目にするすべての集合写真で、見る時間を調整すれば同じ変化が起こると確かめたものではありません。

身近な場面で考える

たとえば、友人6人の集合写真を見た人が、そのうちの一人の顔を「魅力的だな」と感じたとします。次に、同じ写真からその人の顔だけを切り出して見ると、集合写真の中で見たときほど魅力的には感じないかもしれません。

この仮の例で変わったのは、友人の顔そのものではなく、ほかの人の顔が一緒に見えるかどうかです。ただし、実際の写真では顔の大きさや写り方も評価に関わる可能性があるため、印象の違いをすべてチアリーダー効果だけで説明することはできません。

チアリーダー効果は、顔の印象がその顔だけで決まるのではなく、周囲の情報や見せ方との関係でも変わることを理解する手がかりになります。

まとめ

チアリーダー効果とは、同じ顔でも、単独で見るより集団の中で見る方が魅力的に評価されやすい現象です。最初の実験から後の研究まで、この傾向を支持する結果があります。ただし、周囲の顔との比較で評価が下がる場合もあり、なぜ起こるかについては研究が続いています。顔の魅力の評価は、見る状況に左右され得るのです。

参考文献・出典