偽の独自性効果とは?自分の特徴を実際より珍しいと思う心理

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

毎日勉強を続けている人が、「こんなに続けている人は周りに少ないだろう」と思うことがあります。ところが、実際に調べると同じ習慣を持つ人が想像以上にいるかもしれません。

偽の独自性効果とは、自分と同じ特徴や行動を持つ人を実際より少なく見積もり、自分を珍しい存在だと感じることがある心理現象です。特に、自分が良いと思う特徴について研究されてきました。ただし、どんな特徴でも起こるわけではありません。

偽の独自性効果とは?同じ特徴を持つ人を少なく見積もる心理

大切なのは、自分と同じ特徴を持つ人が実際にどのくらいいるかと、本人がどのくらいいると思っているかの違いです。

たとえば、ある教室の100人のうち50人が毎日読書しているとします。毎日読書する人が「自分と同じ人は20人くらいだろう」と考えたら、実際より少なく見積もったことになります。これは仕組みを説明するための仮の人数で、実際の研究結果ではありません。

本当に珍しい特徴であれば「自分と同じ人は少ない」という判断が正しい場合もあります。偽の独自性効果とは、特徴が珍しいこと自体ではなく、その広がりを実際以上に珍しく見積もることです(Suls & Wan, 1987)。

偽の合意効果との違い

偽の合意効果は、自分がある意見や行動を選んでいる人ほど、選んでいない人よりも、その意見や行動を選ぶ人の割合を高く予想しやすい傾向です。一方、偽の独自性効果は、予想した割合が現実の割合より小さいことに注目します。

両者は単純な正反対ではありません。本人が選んでいない人より高い割合を予想していても、その予想が実際の割合より少ないことはあります。比べる対象が異なるのです(Sulsら, 1988)。

研究で分かっていること

得意な能力は、ほかの学生より珍しいと考えた

Marks(1984)は大学生に、自分が最も得意だと思う能力を一つ書き、その能力に優れた学生がほかに何%いるか予想してもらいました。別の学生にも同じ能力について割合を予想してもらい、両者を比較しました。

自分で挙げた能力については、別の学生が同じ能力を見積もった割合より、本人の予想が低い傾向がありました。一方、自分の重要な意見については、他人も賛成する割合を高めに見積もる傾向が見られました。ただし、意見について質問する言葉を変えると、見積もりの方向も変わりました(Marks, 1984)。

この研究で比較したのは、本人とほかの学生の予想です。その能力を持つ人の実際の割合を測ったものではないため、実際より珍しく見積もったとまでは判断できません。

怖さの少ない人は、自分と同じ人を実際より少なく見積もった

SulsとWan(1987)は、参加者自身がさまざまな物事をどのくらい怖がるか尋ね、同年代の人の恐怖の程度についても割合を予想してもらいました。参加者の回答から分かる実際の割合と予想を比較しました。

怖さの程度が低い人は、同じように怖さの程度が低い人の割合を実際より少なく見積もる傾向がありました。一方、怖さの程度が高い人は、強い恐怖を感じる人の割合を多めに見積もっていました(Suls & Wan, 1987)。

恐怖についての見積もりでは、本人の特徴によって反対方向の偏りが見られました。性格や能力のあらゆる項目でも同じ結果が生じると示した研究ではありません。

健康に関係する習慣では、独自性の偏りへの支持は一部だった

Sulsら(1988)は、大学生年代の男性に、健康に関係するいくつかの行動を自分がしているか尋ね、同年代の人がそれぞれの行動を取る割合も予想してもらいました。

望ましくない行動をしている人は、その行動をする人の実際の割合を高めに見積もるという予測が強く支持されました。一方、望ましい行動をしている人は、自分と同じ行動をする人の割合を実際より少なく見積もるという予測には、部分的な支持しか得られませんでした(Sulsら, 1988)。

つまり、良いと思う行動であれば必ず「自分だけだ」と感じるわけではありません。研究対象は大学生年代の男性と健康に関係する行動であり、すべての人や行動に当てはまる結果ではありません。

自分を良く見たいから起こるのか

「自分にしかない長所だ」と思うことで、特別な強みがあると感じるかもしれません。このため、自分を良く捉えたい気持ちは、偽の独自性効果を説明する考え方の一つです。

しかし、Chambers(2008)の研究のまとめでは、自分が他人より優れていると思う場合に加え、他人より悪い状態にあると思う方向の独自性判断も取り上げられています。自分を良く思いたいという気持ちだけでなく、他人と比較し、割合を見積もるときの考え方に関する説明も検討されています(Chambers, 2008)。

偽の独自性効果は、いつも自慢や自信の表れというわけではありません。どんな特徴を、誰と比べているかが重要です。

身近な場面で考える

たとえば、地域の勉強会に参加する人が、毎朝15分間外国語を学んでいるとします。その人は「こんなに続ける人は、この勉強会では自分くらいだろう」と思っています。しかし、参加者に同じ質問をすると、同じくらい学習している人が予想以上にいるかもしれません。

これは実際の勉強会の報告ではなく、仕組みを理解するための仮の例です。自分の努力を大切にすることと、同じことをしている人の多さを正しく知ることは両立します。

「自分だけができている」「自分だけが違う」と感じたときは、何を同じ特徴とみなすのか、どの集団と比べているのかを確かめると考えを整理しやすくなります。実際の割合を知らないときは、珍しさについての判断は予想にとどまります。

参考文献・出典