特徴統合理論とは?色や形を一つの物として捉えるときの注意の役割

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

案内板に色や形の違う印が並んでいるとき、「赤い印がある」「丸い印がある」と気づくことと、「同じ一つの印が赤くて丸い」と見分けることには違いがあります。特徴統合理論は、色や形などの情報を正しく一つの物に結びつけるために、注意を向ける働きが重要だと説明する理論です。

特徴統合理論とは?色や形を一つの物として見る仕組み

特徴統合理論は、心理学者アン・トリーズマンとギャリー・ゲレードが1980年に発表した、視覚と注意に関する理論です。ここでいう「特徴」とは、色、線の向き、形など、目に入る物を見分ける手がかりを指します。

理論では、物を見るときに二つの働きがあると考えます。

  • 特徴を捉える働き:視野のさまざまな場所にある色や形などの情報が、比較的同時に捉えられます。
  • 特徴を結びつける働き:特定の場所に注意を向け、そこで捉えた色や形を、同じ一つの物の特徴として結びつけます。

たとえば「赤」と「丸」という特徴に気づいただけでは、赤い四角と青い丸があるのか、それとも赤い丸があるのかは決まりません。どの色がどの形に属するかを正しく捉えるうえで、注意が役割を果たすという説明です(Treisman & Gelade, 1980)。

色だけで探す場合と、色と形の組み合わせで探す場合

たとえば、たくさんの青い丸の中に赤い丸が一つあるとします。赤という色だけがほかと異なるので、それを手がかりに見つけやすいでしょう。

一方、赤い四角と青い丸が多数並ぶ中から、赤い丸を探すとします。今度は赤い物も丸い物もほかにあるため、赤という色だけでも、丸という形だけでも目当ての印を特定できません。どの印が両方の特徴を持つかを確かめる必要があります。

1980年に提案された理論では、このように複数の特徴の組み合わせを確かめるには、それぞれの物の場所へ注意を順に向ける必要があると考えました。ただし、後の研究では、必ずすべての物を一つずつ確認するわけではないと分かってきました。

研究で分かっていること

1980年:色や形の組み合わせを探すと時間が増えた

トリーズマンとゲレードは、文字の色や形を使って、探し物が見つかるまでの時間を調べました。ある実験では、6人の参加者に、色つきの文字が並ぶカードを見せ、指定された文字が含まれるかをボタンで答えてもらいました。カードに並ぶ文字の数は1個、5個、15個、30個と変えました。

比較したのは、「青い文字、またはSという文字」を探す条件と、「緑色のT」という色と形の組み合わせを探す条件です。どちらの条件でも、ほかの文字には緑色のXや茶色のTなどが使われました。組み合わせの条件では、「緑」も「T」もほかの文字に含まれているため、どちらか一方だけでは探せません。

目当ての文字が実際にあった場合、色または文字の形で見つけられる条件では、周囲の文字が増えても答えるまでの時間はあまり変わりませんでした。一方、緑色のTを探す条件では、文字が増えるほど時間が長くなりました。これは、組み合わせの確認に注意を向ける働きが関わるという理論の予測に沿う結果です(Treisman & Gelade, 1980)。

1982年:色と形を取り違える間違いが起きた

トリーズマンとシュミットは、複数の色つき文字を短時間だけ見せ、同時に示された数字に注意を向けさせるなどして、文字と色の組み合わせをどう答えるかを調べました。

その結果、表示されていた色と文字の形は答えに含まれていても、実際にはなかった組み合わせを報告する間違いが見られました。たとえば赤いO、青いT、緑のEが示されたのに、「赤いE」や「緑のT」があったと答えるような間違いです。こうした、別々の物の特徴を誤って組み合わせる現象は錯誤結合と呼ばれます(Treisman & Schmidt, 1982、Treisman, 2006)。

この実験は、注意を十分に向けられない条件では、物の特徴を正しく結びつけることが難しくなる場合があると示しています。普段の生活でも、いつもこのような間違いが起こると示したものではありません。

後の研究で見直されたこと

特徴統合理論の初期の説明は、色と形などの組み合わせを探すときには、物を一つずつ調べる必要があるというものでした。しかし1989年、ウルフらが色と形、色と線の向き、色と大きさの組み合わせを探す実験を行うと、調べる物が増えた場合でも、それほど時間が延びない条件が見つかりました(Wolfe et al., 1989)。

ウルフらは、先に捉えた色や形の情報によって、注意を向ける候補の場所を絞れると考えました。たとえば赤い丸を探すなら、まず赤い印がある場所へ注意を向け、その中で丸かどうかを確かめることができます。これは、特徴の情報と注意が協力するという説明です。

そのため現在は、特徴を結びつけるときに注意が重要であることと、組み合わせのある物をすべて順番に調べなければならないかどうかを分けて考える必要があります。

身近な場面で考える

たとえば、スーパーで何種類もの値札が並ぶ棚から、「赤い丸印の付いた商品」を探しているとします。赤い四角印や青い丸印も混ざっていれば、赤い色に目が向いただけでも、丸い形を見つけただけでも、目当ての印を見つけたことにはなりません。

赤い印のある場所に目を向けてから、そこに付いた形を確かめるという探し方は、特徴の情報が注意を導くという研究の説明に合います。これは日常の場面に理論を当てはめた例であり、この値札の探し方の速さを直接調べた研究結果ではありません。

特徴統合理論を知ると、何かを「見た」ときにも、色や形に気づくことと、それらを正しく一つの物の特徴として捉えることを分けて考えられます。

参考文献・出典