ブロッキング効果とは?先に学んだ手がかりが新しい学習を妨げる仕組み

心理学の法則・効果
なるほど心理学編集部

二つの合図が同じ出来事を知らせるとき、後から加わった合図も同じくらい覚えられるのでしょうか。すでに知っている合図だけで次に起こることが分かると、新しい合図の意味を学びにくい場合があります。

ブロッキング効果とは、ある手がかりと出来事の関係を先に学んでいると、その後に別の手がかりが加わっても、新しい手がかりと出来事の関係が学ばれにくくなったり、学んだことが反応に表れにくくなったりする現象です。新しい手がかりに何度も接していても、先に知っていた情報が学び方に関わることがあります。

ブロッキング効果とは?先に学んだことが新しい手がかりに影響する

この効果を理解するには、手がかりを学ぶ順序が重要です。たとえば、音が鳴ると決まった出来事が起こると覚えた後で、音と光が一緒に現れ、同じ出来事が起こる場面を繰り返し経験するとします。音だけで次に起こることが分かっているため、新しく加わった光は、結果を予想するうえで役立つ情報として学ばれにくい場合があります。

研究では、はじめに音と出来事の関係を学んだ場合と、その事前学習をしなかった場合とを比べます。後から音と光を一緒に示す経験は両方で揃え、最後に光だけを示したときの反応を調べます。先に音を学んだ方で光への反応が弱ければ、事前学習が新しい手がかりへの反応を弱めたと考えられます。

この現象は心理学者レオン・カミンの研究で知られるようになりました。大切なのは、二つの手がかりが同時に現れたというだけでなく、一方の手がかりが先に結果を知らせるものとして学ばれていたことです(Boddezら、2014)。

なぜ新しい手がかりの学習が弱くなるのか

一つの説明は、予想と実際に起こったことの違いに注目する考え方です。音だけで結果を十分に予想できるようになっていると、音に光が加わっても、起こった結果は以前と同じです。そのため、光を新しい合図として覚えるきっかけが少なくなると考えられます。

また、人が原因を判断する課題では、「音があれば結果が起こるのだから、後から加わった光が原因とは限らない」と考える場合があります。すでに役立っている情報を重視し、追加された情報への注意や評価が弱くなる可能性もあります。

こうした説明は、研究で検討されている考え方です。光への反応が弱いという結果だけで、光をまったく覚えなかったのか、覚えていても思い出しにくかったのか、重要な手がかりとは判断しなかったのかを一つに決めることはできません(Boddezら、2014)。

研究で分かっていること

ネズミの実験では、先に覚えた音が新しい光への反応を弱めた

セラガニアンとフォム・ザール(1969)は、ネズミがレバーを押して餌を得る実験で、音と光を手がかりとして使いました。まず一部のネズミには、音が鳴っている間はレバーを押しても餌が出ないことを経験させました。音が鳴ると、レバーを押す行動が少なくなりました。

次に、その音と新しい光が同時に現れ、その間は餌が出ないことを経験させました。比較のため、初めに音だけで餌が出なくなる経験をしていないネズミにも、音と光を一緒に示す段階では同じ経験をさせました。

最後に光だけを示すと、先に音を学んだネズミでは、比較したネズミよりレバー押しが減りにくい結果となりました。光が「今は餌が出ない」という合図として行動を変える働きは、音を先に学んでいた方が弱かったのです(Seraganian・vom Saal、1969)。

この研究が調べたのは、餌が出ない時間を知らせる合図に対するネズミのレバー押しです。新しい光が見えていなかったと確かめた結果ではなく、光だけを示したときの行動への影響が小さかったことを示しています。

人の実験でも、先に知った原因があると新しい原因を低く評価した

エイトケンら(2001)は、人が食べ物とアレルギー反応の関係を判断する課題を使い、先に得た情報が新しい食べ物の評価にどう関わるかを調べました。

ある条件では、先に食べ物Aとアレルギー反応が結び付く経験を示し、別の条件ではAが反応と結び付かない経験を示しました。その後、食べ物Aに続けて新しい食べ物Bを示し、二つの食べ物が出た後でアレルギー反応が起こる場面を経験させました。

最初にAがアレルギー反応と結び付いていると学んだ条件では、Aが反応と結び付かないと学んだ条件より、新しいBをアレルギーの原因とみなす評価が低くなりました。また、AとBを順番に示す間に暗算をさせても、この評価の差の大きさには明確な変化がありませんでした(Aitkenら、2001)。

この結果は、参加者が答えた原因の評価についてのものです。食べ物Bについて何も記憶されなかったと直接確認したわけではありません。

効果が確認された研究と、確認できなかった研究

フォーゲルら(2015)は、人が出来事の原因を学ぶ実験を重ね、先に別の手がかりと結果の関係を学んだ場合に、新しい手がかりへの評価が弱くなる効果を、最初の実験とその再検証で確認しました(Vogelら、2015)。

ただし、いつも同じ結果が見られるわけではありません。メースら(2016)は、ネズミやマウスを使った15の実験で、いずれもブロッキング効果を確認できなかったと報告しました。著者らは、効果が現れる条件をさらに調べる必要があると指摘しています(Maesら、2016)。

一方、ヴァンドバックら(2020)は7匹のネズミに、音または光の合図があるときに鎖を引けば水を得られると学ばせ、後から別の合図を追加しました。その結果、後から加わった合図だけでは鎖を引く行動が起こりにくくなりました(Vandbakkら、2020)。

このように、効果が確認された研究と確認できなかった研究があります。合図の種類、学習の手順、反応を調べる方法などが結果に関わると考えられます。ボデズら(2014)は、合図に気づく段階、覚えておく段階、最後に反応する段階を分けて考える必要があると論じています(Boddezら、2014)。

身近な場面で考える

たとえば、炊飯器から音が鳴るとご飯が炊き上がったと分かるようになった人がいるとします。その後、音と同時に小さなランプが点灯する新しい炊飯器を使い始めたとします。音が鳴れば炊き上がりを判断できるため、ランプも終了の合図だと覚える必要を感じにくいかもしれません。

ある日、音を消してランプだけが点灯したとき、その人がすぐには炊き上がりに気づかないとしたら、すでに知っていた音の手がかりが、新しいランプを学ぶことに関わった可能性があります。これは仕組みを説明するための仮の例であり、炊飯器を使う人に同じことが必ず起きるという研究結果ではありません。

ブロッキング効果が示しているのは、新しい情報に接する回数だけでなく、接する前に何を知っていたかも、その情報の学び方に関わるということです。新しい合図を人に伝えるときも、すでに知っている合図と一緒に見せるだけでは、その役割が十分に伝わらない場合があると考えられます。

参考文献・出典