均一連結性の原理とは?同じ色や明るさでつながった領域を一つの物として見る仕組み
同じ黒で塗った二つの丸い部分を、黒い帯で切れ目なくつないだ図形を見たとします。丸い部分は二つあっても、全体が一つの形に見えるかもしれません。このように、色や明るさなどがほぼ同じ領域が連続していると、一つのまとまりとして捉えやすくなる見え方を「均一連結性の原理」と呼びます。
均一連結性の原理とは?
均一連結性の原理は、同じような色・明るさ・模様などが、途切れずにつながった領域を、一つの形として見やすいという視覚の考え方です。「均一」は見た目の性質がそろっていること、「連結」は途中で切れずにつながっていることを表します。色や明るさが少しずつ滑らかに変わる領域も、この考え方の対象に含まれます。
心理学者のパーマーとロックは、1994年にこの原理を提案しました。二人は、まず色や明るさなどが連続した領域が見た目の基本的な単位となり、その後に複数の単位がまとめられたり、一つの単位が部分に分けられたりする、という説明を示しました。ただし、この順番は研究者らの理論的な提案であり、すべての見え方で確認された決まりではありません(Palmer & Rock, 1994)。
色が同じことや、同じ枠に入ることと何が違うのか
均一連結性では、似た見た目の部分が切れ目なく続いていることが手がかりになります。二つの黒い丸が離れているなら、同じ黒色であっても一続きの領域ではありません。この場合、色が同じものどうしを仲間として見る「類同の法則」の説明が関わります。
また、離れた丸が同じ四角い枠の中に描かれている場合は、丸どうしはつながっていません。それでも同じ組に見えるなら、同じ囲まれた範囲にあるものをまとめて見る「共通領域の法則」に近い例です。均一連結性は、枠の中に何があるかよりも、形を作る領域そのものが続いているかに注目します。
これらはどれか一つだけが働くものではありません。実際の図形では、距離の近さや色の似かより、輪郭のつながり方など、複数の手がかりが一緒に関わります。
研究では何が確かめられたのか
1994年:つながった領域を一つとして見る働き
パーマーとロック(1994)は、同じような色や明るさでつながる領域が、近さや似かよりといった別のまとまり方の手がかりに反する場合でも、一つの単位として見える例を示しました。そのうえで、こうした領域が最初のまとまりを作るという考え方を提案しています(Palmer & Rock, 1994)。
ただし、見えている像の上では線がつながっていても、部分どうしが異なる奥行きにあると感じられる場合には、一つの単位として見えないことも指摘しています。平面上でつながっているという情報だけで、見え方のすべてが決まるわけではありません。
1999年:近さによるまとまりも素早く捉えられた
ハンら(1999)は、小さな図形を並べて全体として「H」や「E」の文字になる形を作り、参加者がその文字を判断するまでの時間を調べました。小さな図形を近さでまとめる条件、形の似かよりでまとめる条件、つながりでまとめる条件などを比較しています。
形の似かよりを手がかりにした条件では、つながりを加えると全体の文字をより速く判断できました。一方、近さでまとまりを示した条件では、図形をつないでも判断の速さは改善しませんでした。また、近さによるまとまりが弱い条件では、つながりによるまとまりの方が速く処理される結果もありました(Hanほか, 1999)。
この研究からは、つながりが役立つ場合はあるものの、近さによるまとまりより必ず先に働くとは言えないことが分かります。
2003年:画面にある図形の数によっても違いがあった
ハンとハンフリーズ(2003)は、近さとつながりによって形作られた目標の文字を見つける課題を、三つの実験で調べました。画面に示す全体の図形が一つか二つの場合は、近さとつながりのどちらを手がかりにしても、目標を見つけるまでの時間は同程度でした。しかし、画面に示す図形の数を増やすと、つながりで示した目標の方が速く見つかりました(Han & Humphreys, 2003)。
つまり、つながりが役立つ程度は、画面に何がどれだけ並んでいるかによっても変わります。
つながりがあれば、必ず最初に一つの形として見えるのか
キムチ(2000)は、複数の線がつながっている図形と、線が離れている図形などを使い、形の捉え方がごく短い時間の中でどう変わるかを調べました。その結果、線分が離れていても、向きがそろっていたり閉じた輪郭になるように並んでいたりすれば、全体の形として早い段階から捉えられることが示されました(Kimchi, 2000)。
この結果は、均一につながっていることだけが、最初に形を捉えるための条件ではないことを示しています。2012年の研究のまとめでも、均一連結性を最初の単位づくりの唯一の仕組みとする考え方には、異なる研究結果があると整理されています(Wagemansほか, 2012)。
均一連結性の原理は、つながった領域が一つの形に見えやすいことを理解するうえで役立ちます。ただし、連結していれば必ず一つに見える、あるいはほかの見え方の手がかりより必ず先に働くという意味ではありません。
身近な場面で考える
たとえば、公園の案内板に描かれた簡単な地図を想像してください。担当者が広場を示す緑色の形と、そこから伸びる緑色の細長い部分を切れ目なく描いたとします。地図を見る人には、二つの部分が一続きの緑色の形として見えるかもしれません。
一方、二つの緑色の部分の間に白いすき間を残せば、色は同じでも別々の形として捉えやすくなると考えられます。これは原理を理解するための仮の例です。紹介した研究は、公園の地図の使いやすさを直接調べたものではありません。
均一連結性の原理が教えてくれるのは、私たちが物を見るとき、色や明るさだけでなく、その見た目がどこまで一続きになっているかも手がかりにして、一つの形や複数の形を捉えているということです。
参考文献・出典
- Palmer, S. E., & Rock, I. (1994). Rethinking perceptual organization: The role of uniform connectedness. Psychonomic Bulletin & Review, 1, 29–55. 均一につながった領域を基本的なまとまりとして捉える原理と、奥行きなどによる例外を提案した論文。
- Han, S., Humphreys, G. W., & Chen, L. (1999). Uniform connectedness and classical Gestalt principles of perceptual grouping. Perception & Psychophysics, 61, 661–674. 文字の判断課題を用い、つながりと近さ・形の似かよりによるまとまり方を比較した研究。
- Han, S., & Humphreys, G. W. (2003). Relationship between uniform connectedness and proximity in perceptual grouping. Science in China Series C: Life Sciences, 46, 113–126. 全体の図形の数によって、近さとつながりが目標の発見速度に及ぼす影響が変わることを調べた研究。
- Kimchi, R. (2000). The perceptual organization of visual objects: a microgenetic analysis. Vision Research, 40, 1333–1347. つながっていない線分も素早くまとまる条件を調べ、均一連結性だけが最初のまとまりを作るという考え方を検討した研究。
- Wagemans, J., Elder, J. H., Kubovy, M., Palmer, S. E., Peterson, M. A., Singh, M., & von der Heydt, R. (2012). A century of Gestalt psychology in visual perception: I. Perceptual grouping and figure-ground organization. Psychological Bulletin, 138, 1172–1217. 均一連結性とほかの視覚的なまとまり方の原理、および研究上の議論を整理した総説。